


AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。
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魅せるアクション映画。そう呼びたくなるほど、主人公ジョン・ウィックと、彼を追う殺し屋たちの戦いは流れとリズム、美しさがある。
「本当に戦っているようなリアルさを出すため、長回しで撮影した。その結果、パフォーマンスのように切れ目ない場面ができたと思います」
伏し目がちに、穏やかに話すのは、俳優のキアヌ・リーブス。劇中での眼光鋭いジョン・ウィックとは対照的だ。
本作は伝説の殺し屋、ジョン・ウィックを主人公に繰り広げられる、復讐劇シリーズの3作目。前作で裏社会の「ある掟」を破ったジョン・ウィック。3作目ではその命に懸賞金がかけられたところから始まる。殺し屋に四方八方から追われ、死闘を繰り広げながら、過去とつながりのある人物たちに助けを求めにゆく。
監督のチャド・スタエルスキはスタントマン出身。キアヌ・リーブスの主演映画「マトリックス」(1999年)で彼のスタントを務めた。長い付き合いゆえに、信頼も厚く、ジョン・ウィックシリーズでは互いに意見を出し合いながら、アクション場面の構想を練った。
「馬に乗って撃ち合うシーンは私もアイデアを出しました」
ほかにもバイクに乗って刀を振り回して戦うなど、バラエティーに富んだ臨機応変な戦いぶりが目白押しだが、ハードな格闘シーンゆえ、トレーニングには数カ月を要した。
「柔道を基本に柔術、合気道などあらゆる武道の訓練をしたほか、武器の使い方、乗馬も練習しました。実際の場面ではいろいろな技をミックスして戦っています」
1日12時間にもおよぶ長時間の撮影は、足に冷水と湯を交互にかけて炎症を抑え、乗り切った。
それにしても、こんな過酷なジョン・ウィックの生き様に共感するところはありますか?
「彼は生きるため、取らざるを得ない選択をする。私が彼だったら、同じ道を選んだかわからないけどね。どんな動機であれ、選択をすれば、必ず結果がついてくる。思わぬ結果のときも、自分で受け止めなければいけない。私たちが共感できるのはこの『行動には結果がある』という部分ではないかな」