「結果」の落とし前をつけるべく、ジョン・ウィックはニューヨークから逃亡を図り、カサブランカへと旅立つ。

 助けてもらう相手に忠誠心を示すため、壮絶な痛みに耐えたり、大切な物を差し出したりする場面も。

「監督も私も日本や香港の映画、世界の民族の伝統儀式を研究し、インスピレーションを得ています」

 もっともやりがいがあったのは、彼の出生の秘密を知る、アンジェリカ・ヒューストンが演じたディレクターとの対話のシーンだった。

「彼の深い部分が暴かれたような不思議な体験でした」

 次回作があれば、「ジョン・ウィックという人物をもっと知ることができる作品を作りたい」。

◎「ジョン・ウィック:パラベラム」
伝説の殺し屋がスーツに身を包んで切れ味鋭いアクションを展開する。10月4日から全国順次公開

■もう1本おすすめDVD 「マトリックス」

“Guns. Lots of Guns.”(銃をくれ。どっさりと)

「ジョン・ウィック:パラベラム」で、いよいよ戦闘のクライマックスにさしかかる場面で、キアヌ・リーブスが発するこの台詞、彼が主演した大ヒット映画の「マトリックス」(1999年)にも出てくる。

 キアヌ・リーブス自身も認めているように、「マトリックス」からの引用だ。同作品の重要人物、モーフィアスを演じた、ローレンス・フィッシュバーンも「ジョン・ウィック:パラベラム」に出演しており、二つのシリーズで重なる部分を探すのも楽しい。

「マトリックス」もアクションシーンは大きな見せ場のひとつ。スピードと力強さを武器に立ち向かうまっすぐな戦いぶりと、「ジョン・ウィック:パラベラム」での豊富な技とともに洗練された戦闘場面を見比べるのも楽しい。

 痛快なアクションのみならず、哲学的な問いを随所にちりばめているところも、両作品に共通している。

 私たちの現実は仮想の世界に過ぎないのではないかと問う「マトリックス」を観ると、自由を求めて戦い続けるジョン・ウィックにさらに感情移入できそうだ。

◎「マトリックス」
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
価格1429円+税/DVD発売中

(ライター・斉藤真紀子)

AERA 2019年10月7日号