ミュージカル「テニスの王子様」や「刀剣乱舞」シリーズで人気の俳優・荒牧慶彦さんがAERAに登場。演じることについて、現在の想いを聞いた。AERA 2019年10月7日号から。
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シャッターを切るたびに、男性スタッフからも「キレイ」「カワイイ」「甘い……」と感嘆の声が上がる。フワフワした空間の中にいる荒牧慶彦は、誰の目にも美しくてはかなくて、最強だ。
常に控えめな笑みを浮かべ、カルピスウォーターを「小さい頃から好きで」と幸せそうに飲む姿は小動物のよう。この浮世離れしたオーラを放つ彼が2.5次元というジャンルに出合い、人気者となるのは必然だったのだろう。
大学卒業後「25歳までに芽が出ないならやめる」と両親を説き伏せて俳優の道へ。初めてのオーディションはミュージカル「テニスの王子様」。すぐに役もファンも獲得し、次々と2.5次元舞台に出演。その人気は、舞台「刀剣乱舞」で不動のものに。足掛け3年、231公演に出演するなかで、彼が演じた山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)はさまざまな出会いや経験を重ね、コンプレックスや迷いを克服していったが、同様に彼自身も成長できたと振り返る。
「231公演には僕の喜怒哀楽すべてが詰まっていて。大変な思いもしたけど、この作品のおかげで芝居や殺陣がより好きになったし、芯も強くなった。僕、人に言えないコンプレックスがあったんです。中学のころからアトピーで、ずっと恥ずかしくて……でももういいかなって。そんな自分も表に出せるようになった。そしたら、すごく楽になりました」
彼が新たに取り組むのは舞台「サザエさん」のカツオ役だ。まさかのオファーに「僕も笑いました」と言いつつ、今の自分にしか出せないカツオ像を模索している。
「サザエさん役の藤原紀香さんや波平の松平健さんを始め、みなさん『磯野家ってこうだよね!』という芝居をされていて。僕も見劣りしないよう、必死です(笑)」
思いがけずカツオに恋する日が来るかも!? その魅力は劇場で確認してほしい。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2019年10月7日号