東京五輪のマラソン代表を決める「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」が9月15日に行われ、男子は中村匠吾選手と服部勇馬選手、女子は前田穂南選手と鈴木亜由子選手がそれぞれ代表に内定した。日本人選手が世界の強豪に打ち勝ち、メダルを獲得するためには何が必要になるのか。AERA 2019年9月30日号に掲載された記事を紹介する。
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来年の大会本番は、今回とほぼ同じコースで行われる。内定した選手にとって、MGCは予行演習とも言えるレースだったというわけだ。その点を踏まえながら、本番のレース展開を予測してみよう。男子は解説者の金哲彦さんに、女子はスポーツジャーナリストの増田明美さんに聞いた。
まずは男子。スタート直後は長く緩やかな下り坂が続くことから、今回の設楽悠太選手のようにスピードを上げる選手が出てくる可能性を指摘しつつも、金さんが着目するのは真夏の暑さだ。
「本番もとても暑くなるでしょう。その暑さの中で最初からハイペースでいってしまうと、もたないでしょうね」
直後は少し抑えめに入って、15キロ付近から揺さぶりが始まり、残り10キロを切ってからが“最後の勝負”とみる。
「そんな展開でないと、優勝もできないしメダルも取れないと思います。最後の坂は相当きついですが、そこでペースを上げられる選手が勝つでしょう」
果たして、日本勢は?
「現時点では入賞はできても、メダルまでは少し足りないと感じています。この1年で力をつけてもらわなければ」
ここ数回の五輪では、スペシャルドリンク用のテーブルの前でアフリカ勢がスピードを上げるレース展開が目立った。それが日本選手にとっては「揺さぶり」となり、そのまま置いていかれるケースも。「そうした揺さぶりに対応できるような力がまず必要になる」と指摘する。
一方の女子。増田さんが気になるのもやはり、アフリカ勢だ。ここ3回のオリンピックでは日本勢がメダルを逃し、アフリカ勢が活躍している。