W杯開幕前の最後のテストマッチで南アフリカと戦った日本代表。大金星を挙げた4年前の再現はならなかったが、史上最強のチームでW杯に挑む (c)朝日新聞社
W杯開幕前の最後のテストマッチで南アフリカと戦った日本代表。大金星を挙げた4年前の再現はならなかったが、史上最強のチームでW杯に挑む (c)朝日新聞社
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これさえわかればラグビーW杯が楽しめる!(AERA 2019年9月23日号より)
これさえわかればラグビーW杯が楽しめる!(AERA 2019年9月23日号より)
廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)/1981年、大阪府生まれ。5歳でラグビーを始め、北野高校、慶應義塾大学、東芝、日本代表で主将を務める。2016年に引退。TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演(撮影/大野洋介)
廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)/1981年、大阪府生まれ。5歳でラグビーを始め、北野高校、慶應義塾大学、東芝、日本代表で主将を務める。2016年に引退。TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演(撮影/大野洋介)

 ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕が迫ってきた。ルールがわかりにくいと敬遠されがちだが、前日本代表主将の 廣瀬俊朗さんが、初心者でも楽しめる見方を教えてくれた。

【図解】これさえわかればラグビーW杯が楽しめる!/【写真】ドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演した廣瀬さん

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 ラグビーワールドカップ(W杯)がいよいよ9月20日に開幕する。オリンピック、サッカーW杯と並ぶ世界3大スポーツイベントの一つで、11月2日の決勝戦まで44日間にわたって、国内12会場で48試合が行われる。

 日本の世界ランキングは10位(9月9日現在)。予選リーグでは、20日の開幕戦でロシア(同20位)、28日にアイルランド(同1位)、10月5日にサモア(同16位)、同13日にスコットランド(同7位)と戦い、2位以内に入れば、決勝トーナメントに進出できる。

 日本代表は、7~8月に行われたパシフィックネーションズ杯でフィジー、トンガ、アメリカと対戦し、全勝で優勝。一時、過去最高タイの世界ランク9位に浮上した。9月6日には、ラグビー強豪10カ国・地域で構成される「ティア1」に属する南アフリカと対戦。7?41と完敗したが、リーチマイケル主将(東芝)は「望んでいた結果ではないけれど、今日の負けから得たものはたくさんある。W杯に向けて、自分たちが何をやらなきゃいけないのかがはっきり分かった」と前を向く。

 日本代表最終登録メンバー31人中、W杯初選出が21人に上るなど、前回大会から3分の2が入れ替わった。ラグビーでは「キャップ数」と呼ばれる国代表同士の対抗試合に出場した回数が選手の経験値を測る尺度として用いられるが、発表時の31人の総キャップ数は前回大会の1004を大幅に下回る683となった。ただ、前日本代表主将で、ラグビーW杯2019アンバサダーも務める廣瀬俊朗さん(37)は、南半球最高峰リーグのスーパーラグビーを経験した選手が31人中29人いることに注目。

「16年からスーパーラグビーに参戦し、国際的な試合を日常的に経験できるようになったことはすごく大きいです。戦術面において経験値が上がり、試合中の修正能力も格段に上がったと思います」

 メンタル面でも4年前との違いがあるという。15年のW杯イングランド大会以前は「自分たちが勝てるとは思っていなかった」と振り返る廣瀬さん。というのも、日本代表は11年までW杯7大会に出場し1勝21敗2分け。だが、15年は初戦の南アフリカ戦で歴史的な大金星を挙げるなど3勝を挙げ、大躍進した。

「あの勝利でマインドセットが変化しました。今までは相手を過大評価していた部分があり、『やっぱり無理』という思いがどこかにあったが、今は、最初から勝てると思えるようになった。この気持ちの変化はとても大きいと思います」

 前回大会で3勝したものの勝ち点差で決勝トーナメント(準々決勝)進出を逃した日本代表は、今大会は史上最強の布陣で初のベスト8を目指す。自国開催ということもあり、これまでラグビーに興味がなかった人も、競技場やテレビで観戦してみてはいかがだろうか。

 まず、ラグビーの基本をおさらいしよう。

 ボールを扱う競技では1チーム15人と最も多く、ポジションがたくさんあるのも特徴だ。

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自己肯定感が高まる