ライター、プランナーとして働く女性(50)は、48歳のときに国立の大学院に入学し、今年3月に卒業した。執筆やプランニングの仕事をするなかで、「きちんと統計が取れるようになれば、もっと説得力のある記事を書くことができるのに」と日々漠然と感じていたことがきっかけだった。

 当時、長女は高校2年生で1年間留学へ。長男は小学5年生。

子育てが半分になったことも大きかった。実際に勉強を始めてみると、やはり子どもが幼いときは無理だっただろうな、と感じました」

 前出の牛窪さんも、こう口にしていた。

「『何かに挑戦したいと思っても、子どもが幼いために物理的に難しい』と感じていた女性たちが、子どもから手が離れたことで実行に移すのも40代後半から50代の特徴です」

 この女性は社会人入試を受ける前は1日最低6時間、最高で12時間、英語を中心に勉強した。やりたいことが明確だったから、楽しみながら頑張れたという。

 大学時代はいかに授業をサボるかを考えていたが、勉強できるありがたみを感じた。そして子どもとの関係も変わった。

「長男は受験生だったこともあり、『一緒に勉強をしよう』と誘われるように。お互い“勉強仲間”のような感覚です」

 今後は大学院で身につけた知識を武器に、さらに仕事でステップアップするつもりだ。

 社会経験豊富な大人女子たちは、趣味や自分のための時間を“人生の小休憩”で終わらせない。心の充実感はそのまま、その後の人生のステップアップに繋がっていた。(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2019年9月16日号より抜粋