大学の伝統やスクールカラーの影響をたっぷりと受けながら過ごす学生時代。第一線で活躍する早稲田大学と慶應義塾大学の卒業生がそれぞれの魅力を振り返る。早稲田は岸田文雄・自民党政調会長、慶應は石破茂・元防衛大臣。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。
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■慶應 石破茂さん(62)衆議院議員、元防衛大臣
家で塾歌などが入ったDVDを見ていると、娘たちに言われるんです。「お父さん、本当に慶應好きね」。好きなんです。もう一度選ぶとしても慶應です。中学までは鳥取で、高校から塾高に通いました。父親が鳥取県知事だったので、「子供が県立高校に行くもんじゃないな」と。慶應を選んだのは、中学3年の夏休みに鳥取で慶應大学生のビッグバンドの演奏を見たからかなあ。感動しちゃってね。格好いいなあっていうこともあって、慶應を受験したんです。最初はホームシックにかかりました。普通部や中等部から上がってきてる塾高生ってやっぱり違うんですよ。ハイソな感じでね。私は言葉も微妙に違ったし、嫌になってもう鳥取に帰りたかったんです。それが、慣れてくると過ごしやすくなりました。ゴルフ部に所属して、日吉の辺りをひたすら陸上トレーニングで走っていました。日曜になると私の部屋で宴会なんかもしてたな。大学では刑法にのめりこみましたが、サークルの友人と野球の早慶戦の応援に行って酒を飲んだり、試合後は日比谷公園の池に飛び込んだりと、思い出はたくさんあります。慶應っていうのは、勉強しようと思えばいくらでもできるし、遊ぼうと思ってもいくらでもできる。私の場合は勉強だけでなく、バカバカしいことをするのも妙に楽しかった。慶應って、そういうことができる器の大きな学校でしたね。