建設が進む東京・晴海の「選手村マンション」。閉幕後は「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」として生まれ変わる(撮影/写真部・張溢文)
建設が進む東京・晴海の「選手村マンション」。閉幕後は「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」として生まれ変わる(撮影/写真部・張溢文)
この記事の写真をすべて見る
東京湾を望む「晴海フラッグ」(AERA 2019年8月26日号より)
東京湾を望む「晴海フラッグ」(AERA 2019年8月26日号より)
晴海フラッグ抽選会に来場した人たちの声(AERA 2019年8月26日号より)
晴海フラッグ抽選会に来場した人たちの声(AERA 2019年8月26日号より)

 東京五輪・パラリンピック開幕までまだ1年あるというのに、激戦が繰り広げられているのが「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」だ。五輪「祭りのあと」を狙うマンション購入希望者が語った真意とは。

【画像】「7千万ほどでお手頃」「値段は妥当」晴海フラッグ抽選会に来場した人たちの声を見る

*  *  *

「4部屋を申し込んで3部屋当てました。でも、1億円もするマンション分譲の(抽選)倍率がこんなにすごいなんて、東京は景気がいい」

 そう不動産投資家が笑えば、30代の中国人夫妻は「倍率9倍だったから、当選してラッキー!」「収入はありますよ。1億円くらいは」とそろって口も滑らかだった。別のアジア系外国人は「当たったよー」と一言。2部屋も当選したという不動産業者らしき人物もいれば、4、5人で会場に来てはしゃいだ人々もいて、東京五輪・パラリンピックのレガシー(遺産)セールは一日中、大騒ぎだった。

 彼らが集ったのは、炎天下の東京・晴海。通称「選手村マンション」の抽選会場である。8月5日午前10時前からベンツやBMW、レクサスなどの高級車で次々に乗り付け、ガラポン抽選機を見つめた。

 抽選のお目当ては、東京五輪の選手村マンション。東京湾やレインボーブリッジを一望する東京都中央区晴海5丁目にあり、銀座までは2.5キロ。都の埋め立て地だったところに建てられている。五輪期間中は選手宿泊棟として使用されるが、土地はすでに三井不動産レジデンシャルなど大手マンション開発業者11社の企業連合が、都から周辺の約20分の1の激安価格で払い下げを受けている。五輪開催はまだ1年先だというのに、閉幕後を見越して、もう第1期分譲を始めたのだ。

 前述の11社連合は東京ドーム3個分のこの地に、14階から18階の宿泊棟21棟を建て、五輪閉幕後には50階の超高層マンションなどを加えた計5632戸の街「晴海フラッグ」を誕生させる計画だ。ただし、閉幕後、内装工事などが必要となるため、入居は2023年3月からと予定されている。

次のページ