WBC決勝・米国戦で3-2と激闘を制し、14年ぶりの世界一に輝いた侍ジャパン。村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)にアーチが飛び出し、投手陣も米国の強力打線を2失点でしのいだ。そして最後は劇的なフィナーレが待っていた。「3番・指名打者」でスタメン出場の大谷翔平(エンゼルス)が1点リードの9回に抑えで登板。最後はエンゼルスのチームメートのマイク・トラウトを空振り三振と無失点で締めて、マウンド上で勝利の雄たけびをあげた。
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この試合で逆転の2点目を奪う内野ゴロを放ったのが、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)だった。村上のソロで追いつき、なお1死満塁の好機で左腕のアーロン・ループ(エンゼルス)に2ナッシングと追い込まれたが、簡単には終わらない。3球目の内角に食い込むツーシームに詰まりながらも一ゴロを放ち、三塁走者の岡本が勝ち越しの本塁生還をした。ナインたちにハイタッチで迎えられたことが、価値ある凡打であることを証明していた。
1次ラウンド4連勝の立役者の一人は、間違いなくヌートバーだろう。「1番・中堅」で全試合スタメン出場し、14打数6安打で打率.429をマーク。2番・近藤健介と共にチャンスメークした。外野の守備でも好守を連発。凡打でも全力疾走を怠らず、闘争心を前面に出すプレースタイルでファンの心をつかんだ。ナインにも片言の日本語で積極的に話しかけ、ミドルネーム「たつじ」の愛称から「たっちゃん」と呼ばれ、すっかり溶け込んだ。安打や適時打を打った際に塁上で行う「ペッパーミルパフォーマンス」はベンチだけでなく、観客を巻き込んで大ブームに。ヌートバーは決勝戦後のインタビューで、「言葉にできないし、チームに入れて光栄です。信じられない。(侍ジャパンでWBCに出場できたことは)人生最高の決断です。全ての方々に感謝しています」と語り、「ニッポンダイスキ!ミンナアリガトー!」と日本語で満面の笑みを浮かべた。