人気ライトノベルを映像化したテレビアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」は、学園ラブコメ、SF、オカルトなど様々な要素をギュッと詰め込み、凝った構成で何度見ても「発見」がある作りになっている。エンディング曲に合わせてキャラクターがキレのある動きで踊る「ハルヒダンス」は、日本のみならず世界各地で流行した。当時開設間もない動画サイト「YouTube」に「踊ってみた」と題した映像が競うようにアップされた。

 事件後、京都市伏見区の現場、第1スタジオには京アニのアニメが日本語を学ぶきっかけだったという留学生ら海外のファンも次々と献花に訪れている。

 4コマ漫画が原作の「らき☆すた」は、アニメファンにすっかり定着した「聖地巡礼」のさきがけであると同時に、女子高生のゆるーい日常をコミカルに描いて「空気系」「日常系」と呼ばれるジャンルが生まれるきっかけとなった。

「聖地巡礼」は、続いてのヒット作「けいおん!」でも起きた。部活でバンドを組む女子高生たちが、お茶とお菓子とおしゃべりを部室でまったり楽しむアニメだ。レトロで落ち着いた雰囲気の校舎は、滋賀県豊郷(とよさと)町の豊郷小学校旧校舎群がモデル。事件を知ったファンが続々と訪れ、黒板は「京アニがんばれ!!」といったメッセージで埋まり、献花台は花であふれている。(朝日新聞記者・小原篤)

AERA 2019年8月5日号より抜粋