最初はうまくいかなくて優しく見守ってあげよう(筆者撮影)
最初はうまくいかなくて優しく見守ってあげよう(筆者撮影)
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バターの香りタップリ(筆者撮影)
バターの香りタップリ(筆者撮影)
子どもが割った卵で作ったオムレツの味は格別(筆者撮影)
子どもが割った卵で作ったオムレツの味は格別(筆者撮影)

 子どものための料理教室「リトルシェフクッキング」代表の武田昌美さんが、子どもと料理を楽しむコツや、レシピを紹介します。忙しい毎日のなかで、小さな子どもと料理をするのは大変そうですし、安全面も心配です。でも、ポイントさえおさえれば大丈夫。親子のコミュニケーションにもなるし、親の知らない子どもの才能をのばすきっかけになります。なにより、一緒に作った料理は格別ですよ。

【これは美味しそう! できあがりの写真はこちら】

*  *  *

「ママ、私もお料理したい!」

 現在5歳の娘が料理に興味を持ったのは3年前。当時、娘は2歳でイヤイヤ期真っ盛り。何をしても「イヤ!」と言うお年頃。ひとたび「料理する」と言い出せば、実際にやらせてもらえるまであらゆる手段でアピールしてくる光景が目に浮かびました。怪獣と化した娘をなだめるよりも、やらせてあげた方が案外楽かもしれない……。これが我が家の親子クッキングの第一歩でした。

 このとき、私はちょうど卵を使っていました。

「卵持ってみる?」と娘に聞くと、「うん!」。

 娘は目を輝かせて卵を受け取り、途端にギュッと握りしめました。卵は飛び散り、立ち尽くす娘。卵がこんなに簡単に割れてしまう繊細なものとは思いもしなかったのでしょう。

 娘は「卵壊れた!」と世紀の大発見をしたかのうように大興奮です。
そこで「もう一個卵いる?」と聞くと「いる!」と即答。

 おもちゃでは味わうことのできない本物の魅力にすっかり取り憑かれてしまいました。

 今度は卵を、大切な宝物のように、そっと両手で包み込み観察です。
そして、そっとトントン……あれ?割れない。ドン!……ぐちゃ。また卵は壊れます。

 娘の頭の中は「?」で一杯。「どうしたら綺麗に割れるの?」

 彼女の探求心が爆発した瞬間でした。その日から親子の卵割りが日課となりました。娘は卵を見ると「割る!」と駆け寄ってきます。

 何度も言ってしまいますが、イヤイヤ期の2歳児。断ろうものなら、ひっくり返って暴れまわり、卵が飛び散るよりも恐ろしい大惨事が起こるのは目に見えています。彼女がやりたいようにやってもらうことにしました。

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武田昌美

武田昌美

武田昌美(たけだ・まさみ)/リトルシェフクッキング株式会社代表取締役、子ども料理研究家。料理を通じて子どもの才能を開花させ、挑戦する勇気・失敗への前向きな姿勢を養うことを目的とする料理教室「リトルシェフクッキング」を経営。2歳から19歳まで、のべ2000人以上の子どもに料理の楽しさを教えている。https://little-chef-cooking.com

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