脳梗塞の種類
脳梗塞の種類

「治療しなければほとんどの人が寝たきりになってしまうような閉塞でも、経験豊富な医師のいる病院であれば、この治療により血栓の約9割は回収できます。治療後早くからリハビリをすることで、そのうち半数の人は歩いて自宅に帰れるほど元気に回復します」(森本医師)

 森本医師は、いざというときに備え「脳梗塞の治療に強い病院を調べておくと安心」と話す。血栓回収療法を実施しており症例数が多いこと、日本脳神経血管内治療学会の専門医が複数いること、厚生労働省の認定する脳卒中専門の集中治療室「SCU(Stroke Care Unit)」があることなど、病院のホームページで確認できることも多い。SCUには「24時間専門医が常勤」「患者3人に対し看護師1人以上を配置」などの認可基準がある。

「脳梗塞は症状の急激な変化が多い病気です。SCUでは手厚く患者さんをみることができ、神経症状の変化などにも素早く対応できる強みがあります」(同)

■ためらわずに一刻も早く救急車を

 現在は、血栓回収療法を実施できる病院は都市部に集約されている傾向があるが、急性期脳卒中の診療体制を整えている地域や病院は増えていると井口医師は話す。

「救急車を呼んだ後のことを心配するより、早く救急車を呼ぶことが大事です。優れた治療法があっても、24時間以内に治療できるのは3割以下。時間オーバーで治療できないという事態を減らすためにも、まずは一刻も早く救急車を呼んでください」(井口医師)

(文・出村真理子)

※週刊朝日2023年3月31日号より