QRコード支払いはその便利さの半面、危険と隣り合わせでもある。中国では、これから普及が進む日本でも起きそうな犯罪が頻発している。

 その一つが、「QRコードすり」だ。中国メディアによると、4月下旬、重慶市のコンビニで女性がスマホにQRコードを表示させて支払いを待っていたところ、後ろから近づいた男にコードを読み取られて、お金を持って行かれる事件が立て続けに発生した。男は、相手のQRコードを読み取っただけでお金を受け取れるよう、自らのアカウントを店舗として登録していたという。

 中国で人気のシェア自転車を悪用したいたずらも起きている。利用を始めるには自転車に貼られたQRコードを読み取るが、その上に偽物のコードを貼って、関係の無いサイトに誘導する問題が各地で発生しているのだ。警察は「ウイルスに感染する恐れもある」と警戒を呼びかけている。ほかにも、QRコード付きの交通違反の偽造切符を駐車中の車に貼っておき、車の持ち主が罰金のつもりで払ったお金をだまし取るケースも頻発している。

 同様の犯罪が日本で起きることはないのだろうか。PayPay広報によると、国内ではこうした不正を防ぐため、加盟店登録時に厳しい審査を行っているという。

「詳細はお伝えできませんが、悪用を防ぐため、本人確認を含め厳格な審査を行っています」

 レジ待ち中にコードを読み取られるだけで盗みにあってしまう「QRコードすり」のように、犯罪者が店舗になりすましてアカウントを取得する心配はないという。

 ただ、正規のものだと思って読み込んだQRコードが偽物だった場合の対策は、企業側には難しい。決済の画面に不審な点がないかなど、利用者自身も注意を払う必要がありそうだ。(編集部・福井しほ)

AERA 2019年6月17日号より抜粋

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