中国でのキャッシュレス化の波が止まらない。QRコード支払いの手軽さを活用し、新たなサービスも生まれている。日本でも普及しつつあるキャッシュレスサービスが悪用される危険性はないのか。中国の事例をもとにキャッシュレス化の今後について考えていく。
【写真】スマホでQRコードを読み取ると、お賽銭の電子決済ができる神社
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中国のお札は汚れていることが多く、受け取り拒否を食らうこともしばしば。100元(約1560円)以上の高額紙幣がないので、現金を持ち運ぶのも不便だった。様々な要素が絡み合って、ほんの数年で一気にキャッシュレスの支払い手段が広がった。
QRコード支払いの普及によって中国に広まったものに「セルフ」がある。お金がつまる故障が減るので、自動販売機が普及した。おもしろいのが、小型のカラオケボックス。電話ボックスのように2人ほどが入れるサイズのものが、ショッピングセンターなどに設置されている。歌う前にディスプレーに表示されるQRコードを読み取って、支払い手段を登録することで、利用料が引き去られる。QRコードが生んだ新しい文化だ。
そんな中国に追いつけとばかりに、日本でも新しいスマホ決済の使い方が生まれている。
「ホリエモンロケット」の打ち上げで知られるロケット開発会社「インターステラテクノロジズ」の稲川貴大社長(32)は昨年5月、横浜で出席した結婚式で、ご祝儀をLINE Payで支払った。
ご祝儀といえば、表書きは筆ペンがいいのか、中袋に書く金額の文字は「壱」や「参」を使うのか、お札の向きはどうするのか──と、細かなマナーがつきもの。つい銀行に行きそびれて、新札がないと焦ったことも一度や二度ではないだろう。だが、キャッシュレス決済が普及すれば、そんな手間も一切なくなる。稲川社長は言う。
「LINE Payで事前送金していたので、当日は画面を見せるだけでいい。並ぶ必要はないし、現金を用意する手間がかからないのもいい。今後もキャッシュレス対応する式があれば、それで支払いたいです」