北京ではQRコードで支払う2人用カラオケボックスが流行中だ(撮影/福田直之)
北京ではQRコードで支払う2人用カラオケボックスが流行中だ(撮影/福田直之)
この記事の写真をすべて見る
スマホでQRコードを読み取ると、お賽銭の電子決済ができる/栃木県日光市の日光二荒山神社 (c)朝日新聞社
スマホでQRコードを読み取ると、お賽銭の電子決済ができる/栃木県日光市の日光二荒山神社 (c)朝日新聞社
東京都の会社員高山和幸さんは結婚式の2次会費用をLINE Payで集めた(撮影/写真部・張溢文)
東京都の会社員高山和幸さんは結婚式の2次会費用をLINE Payで集めた(撮影/写真部・張溢文)

 中国でのキャッシュレス化の波が止まらない。QRコード支払いの手軽さを活用し、新たなサービスも生まれている。日本でも普及しつつあるキャッシュレスサービスが悪用される危険性はないのか。中国の事例をもとにキャッシュレス化の今後について考えていく。

【写真】スマホでQRコードを読み取ると、お賽銭の電子決済ができる神社

*  *  *

 中国のお札は汚れていることが多く、受け取り拒否を食らうこともしばしば。100元(約1560円)以上の高額紙幣がないので、現金を持ち運ぶのも不便だった。様々な要素が絡み合って、ほんの数年で一気にキャッシュレスの支払い手段が広がった。

 QRコード支払いの普及によって中国に広まったものに「セルフ」がある。お金がつまる故障が減るので、自動販売機が普及した。おもしろいのが、小型のカラオケボックス。電話ボックスのように2人ほどが入れるサイズのものが、ショッピングセンターなどに設置されている。歌う前にディスプレーに表示されるQRコードを読み取って、支払い手段を登録することで、利用料が引き去られる。QRコードが生んだ新しい文化だ。

 そんな中国に追いつけとばかりに、日本でも新しいスマホ決済の使い方が生まれている。

「ホリエモンロケット」の打ち上げで知られるロケット開発会社「インターステラテクノロジズ」の稲川貴大社長(32)は昨年5月、横浜で出席した結婚式で、ご祝儀をLINE Payで支払った。

 ご祝儀といえば、表書きは筆ペンがいいのか、中袋に書く金額の文字は「壱」や「参」を使うのか、お札の向きはどうするのか──と、細かなマナーがつきもの。つい銀行に行きそびれて、新札がないと焦ったことも一度や二度ではないだろう。だが、キャッシュレス決済が普及すれば、そんな手間も一切なくなる。稲川社長は言う。

「LINE Payで事前送金していたので、当日は画面を見せるだけでいい。並ぶ必要はないし、現金を用意する手間がかからないのもいい。今後もキャッシュレス対応する式があれば、それで支払いたいです」

次のページ