英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル 高田 茜(29)/吉田都以来、21年ぶりにロイヤルに誕生した日本人女性プリンシパル。来日公演では怪我のため急遽、降板が発表されたが、来シーズンには復帰の予定という/英国ロイヤル・オペラハウス内のスタジオで(撮影/富岡秀次)
英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル 高田 茜(29)/吉田都以来、21年ぶりにロイヤルに誕生した日本人女性プリンシパル。来日公演では怪我のため急遽、降板が発表されたが、来シーズンには復帰の予定という/英国ロイヤル・オペラハウス内のスタジオで(撮影/富岡秀次)
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 世界の名門バレエ団の最高位の座に就く日本発のバレリーナが相次いでいる。日本はバレエ学習者人口が約36万人のバレエ大国。その流れは60年代から始まり、2000年生まれの「4.0世代」へ引き継がれている。

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 フィギュアスケートの競技シーズンが終わったら、次はバレエの季節。日本の春から夏は、海外の名だたるバレエ団やトップダンサーが次々と来日し、研鑽を極めた舞台をアピールする“繁忙期”となる。

 その筆頭が6月に3年ぶりの来日公演を行う英国ロイヤル・バレエ団。パリ・オペラ座バレエ団、サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエと並び、世界3大バレエ団に数えられるロイヤルは、シェークスピアのおひざ元という伝統とあいまって、高い演劇性に彩られた舞台で知られる。

 そのロイヤルでは今、世界のバレエ事情を投影した状況が出現している。2016年に最高位であるプリンシパルに就任した高田茜(29)、平野亮一(35)とともに、日本人ダンサーの存在感が増しているのだ。

 1990年代に川哲也(47)、吉田都(53)が同団のプリンシパルに就任するまで、日本人のみならず東洋人のダンサーがバレエの本場で抜擢されることは稀だった。しかしロイヤルでは以後、日本人の入団がいとまなく続き、現在は103人の団員のうち10人(研修生を含む)が日本出身。英国をはじめ伊、西、露、米、豪、アルゼンチンなど多国籍のダンサーがしのぎを削る中で、この比率は注目に値する。

「日本人だからではなく、才能と実力があるから起用しています。アカネとリョウイチは私たちの誇りです」

 と、同団の芸術監督、ケヴィン・オヘアが語る言葉は、決してリップサービスではない。

 同団が属する英国ロイヤル・オペラハウスは前世紀末に観客減の危機に見舞われていたが、21世紀に経営陣を刷新。サッカーにならった屋外パブリックビューイングや、ユーチューブの公式チャンネル開設など、時代に即したマーケティングを展開し、世界中から新たなファンを獲得し直した経緯がある。

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