5月下旬、全国で気温30度を超す真夏日が相次いだ。5月24日、六本木ヒルズでは例年より約1カ月早く、ドライミストが稼働した(東京都港区) (c)朝日新聞社
5月下旬、全国で気温30度を超す真夏日が相次いだ。5月24日、六本木ヒルズでは例年より約1カ月早く、ドライミストが稼働した(東京都港区) (c)朝日新聞社
条件揃えばどこでも豪雨(AERA 2019年6月10日号より)
条件揃えばどこでも豪雨(AERA 2019年6月10日号より)

 5月下旬、相次いだ真夏日。この時期の異常気象は、猛暑や冷夏の先触れなのか? 専門家は、むしろ豪雨を警戒すべきだという。

【イラストで見る】西日本豪雨が起こった理由

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 5月というのに、早すぎる真夏の到来だった。東京都心では5月24日から4日連続で気温30度を超す真夏日を記録、26日には北海道佐呂間町で39.5度と北海道の観測史上初の39度台を記録した。西日本でも真夏日が続出、5月の真夏日が過去最多となる場所もあった。

 この異例ずくめの暑さは今夏の傾向を占う異常気象の前触れなのか、それとも一過性のものなのか。昨年7月の西日本豪雨も記憶に新しいなか、「令和」が迎える初めての夏は、どんな天候になるのか。

 日本気象協会を訪ねた。同協会専任主任技師の気象予報士、関田佳弘さんは言う。

「北海道を含め、全国的に暑くなった原因は、偏西風の盛り上がりによる一時的なものです。実際、35度を超えた網走でも、上空の暖気が東へ抜けた3日後の5月29日の最高気温は12.5度。長続きする現象ではないのです」

 では、今夏(6~8月)の気温はどうなるのか。気象庁が5月24日に発表した3カ月予報によれば、梅雨明けが極端に早く記録的な猛暑だった昨年と比べると、正反対と言っていいほど傾向が異なる。昨年は上空の偏西風が平年より北寄りを流れ、チベット高気圧と太平洋高気圧が日本付近に強く張り出していた。今年はチベット高気圧が弱く、偏西風は平年より南寄りを流れる見込みで、太平洋高気圧の本州付近への張り出しも弱いとみられる。また、太平洋赤道域東部の海水温を上昇させるエルニーニョ現象が続いている。関田さんは言う。

「エルニーニョ現象は、日本付近では気温を下げる特徴があるものの、地球温暖化などの影響で相殺され、今夏は平年並みの暑さになるとみられます」

 全国的な傾向(沖縄・奄美地方を除く)として、太平洋高気圧の張り出しが弱いため、平年に比べ晴れの日が少なくなりそうだという。前線や湿った空気の影響を受けやすいので、降水量は平年並みもしくは多い見込みだ。記録的猛暑に激甚な豪雨被害があった昨年夏と比べると、マイルドで過ごしやすい気候が続きそうだ。しかし、

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