カバーは青色の紙に白を2回刷った。タイトルの「数学の贈り物」は刷った白の上に、名前の「森田真生」はもとの青の紙に黒のインクで刷るこだわり。帯を裏返すと、メッセージが書き込め、そのまま誰かに贈り物としてあげることができる。

「僕は岡潔の本に出合って、生きているということに希望が持てるようになった。自分が死んだ後でもいい、僕の本を手に取った人が一人でも生きることに前向きに思えたら、それだけで僕は書いた甲斐があると思っています」

(編集部・大川恵実)

■書店員さんオススメの一冊

『みんなの「わがまま」入門』は、社会運動の具体的方法をレクチャーする画期的な一冊。東京堂書店の竹田学さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

*  *  *

 画期的な社会運動の入門書である。社会運動を「わがまま」と翻訳し、その実践や意義を易しい言葉で書き切った著者の気概に感銘を受ける。

 本書は制服やアルバイト、コミック、音楽など身近な話題を貧困や差別といった社会問題につなげ、問題解決の「わがまま」=社会運動の具体的な方法や構え、歴史をレクチャーする。自己満足でいい、こっそりやる、うまくいかなくても気にしない、など実践的・説得的な言葉が読者を励まし、「わがまま」実践の背中を押してくれる。「おうち語を翻訳する」などのエクササイズや章ごとのポイントのまとめも懇切丁寧で、本書が中学・高校の社会科副読本であればいいと真剣に思う。

「あとがき」などで社会運動を研究する難しさや著者の葛藤も率直に語られ、この本を深みのあるものにしている。「わがまま」上等!である。

AERA 2019年6月10日号

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