中学受験で志望校を選ぶとき、目安となるのが入るときの偏差値と大学合格の実績だろう。その二つを比べれば「どれだけ子どもの学力を伸ばしてくれる学校か」という点が見えてくる。「学力の伸び」を数値化し、その背景を探った。
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東京大学文科2類にこの春、合格した世田谷学園出身の竹安宏曜(たけやすひろあき)さん(18)は、中学入学当初から飛び抜けて優秀だったわけではない。
「最初の中間テストで思いがけず良い点が取れて、周囲から、おまえは東大に行けよと囃し立てられ、その気になりました(笑)」
サッカー部の先輩の存在も大きかった。
「高3の夏まで練習を続け、慶應義塾大学に合格した姿を見て、自分もやればできると思った」
竹安さんが入学した時の世田谷学園の偏差値は57。この春、偏差値67.5前後とされる東大の文IIに合格した竹安さんは、中高の6年間で大きく力をつけたことになる。
今回アエラでは、在学中に学力を伸ばしてくれる「お得」な学校に焦点を当てた。表は、首都圏の国立、私立中高一貫校の2019年の大学合格実績と中学入学当時の偏差値をもとに、6年間の学力の伸びを数値化したものだ。森上教育研究所アソシエイトの小泉壮一郎さんに作成を依頼した。
首都圏男子校の表を見てみよう。学校によって受験先の傾向が異なるため、大学を3グループに分けている。国立難関は旧7帝大の東京大、京都大、東北大、九州大、北海道大、大阪大、名古屋大に加え、東工大、一橋大。早慶上理は早稲田大、慶應大、上智大、東京理科大。GMARCHは学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大を指す。
「2019偏差値」は各大学の実際の偏差値ではなく、各中高一貫校の合格実績を偏差値に換算した値だ。「2013偏差値」は生徒が中学に入学した13年当時の偏差値で、首都圏の中堅校から難関校をカバーする大手塾「四谷大塚」の模試の値を使っている。
「出口」となる19年偏差値から、「入り口」にあたる13年偏差値を引いた差が、6年間の学力の「伸び」を表す。この伸びが大きければ大きいほど、入りやすく難関大への進学がかなう「お得」な学校ということになる。伸びが大きな学校が一目で分かるよう、差が8以上なら赤色、6以上はオレンジ、4以上は黄色で色分けした。