「最終目標である『電車に乗って手芸サークルに行くこと』は、まだ実現できていませんが、幸子さんはあきらめていません。電車だと階段の上り下りが必要なところもあるので、もう少し、筋力をつけるなど、脚の可動域を広げるリハビリが必要です。私たちは幸子さんの目標の実現のためにこれからもサポートを続けていきます」(同)

 地域包括ケアシステムを実現する中でベースとなるのは、「住み慣れた地域でどう自分らしく暮らしていくかを本人が主体的に決めること」「安心できる住まいが確保されていること」とされています。

「幸子さんについては、これらができている上で、医療的なサービスが提供されています。別に内科の『かかりつけ医』もいて、私たち訪問リハビリ医と定期的に情報交換をおこない、医学的な管理の下にリハビリをおこなっています」(同)

 リハビリは専門家に頼らなくても、「自分でできる」と思っている人がいるかもしれません。

「しかし、自己流のリハビリは危険なことも多いのです。例えば、骨折したほうの脚をかばって歩いていると、必ず健康なほうの脚を痛めてしまうことになります。不適切な歩き方はバランスや効率も悪くからだに余計な負担がかかってしまいます。がんばって取り組んでいることが逆効果にならないよう、ぜひ、専門家によるリハビリを上手に利用してほしいと思います」

 なお、幸子さんのケースのように、骨折などをし、退院後に訪問リハビリを受けたい場合は、病院の医療スタッフ(ソーシャルワーカーなど)に問い合わせるとよいでしょう。

「病院や訪問看護ステーションから訪問リハビリを受ける形になりますが、複数から選べる場合は、ソーシャルワーカーさんにそれぞれの特徴などを聞いて選ぶことをおすすめします」

(文・狩生聖子)

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