オランダのハーグで開催された授賞式では、ノーベル平和賞の受賞者である中東イエメンのタワックル・カルマンさんから賞が贈呈された(写真:キッズライツ財団提供)
オランダのハーグで開催された授賞式では、ノーベル平和賞の受賞者である中東イエメンのタワックル・カルマンさんから賞が贈呈された(写真:キッズライツ財団提供)

「私と同じような年の子どもたちが満足な教室もない環境で、目を輝かせて黒板に向かう姿を見てハッとしました。『今日はだるいから学校に行きたくないな』と思ったりすることもある自分との違いにびっくりして。社会問題が初めて“自分ごと”になりました」

 アフガニスタンの子どもたちと比べ、自分は特権のようなものを得ていると感じた。

「特権を持っているなら、それをいいことに使わないと」と考えた川崎さんは、寄付するお金を稼ぐことにした。友人と小学校の文化祭に出店し、自分たちで手作りした絵ハガキや粘土細工などを販売したそうだ。

「売り上げは5万円もいかなかったですが、それをスーダンの難民キャンプの子どもたちの教育費のために寄付しました。これが私の、社会貢献のファーストアクションです」

 その後、14歳のときにアース・ガーディアンズ・ジャパン(以下、EGJ)という組織を立ち上げた。大阪・十三での河川清掃といった環境保護活動、子どもの意見を政治の場に届ける仕組み作りに取り組んでいる。EGJの成果の一つが、10代の若者と地域の政治家をつなぐオンライン会議だ。

「自分が学生ということもあり、教育の問題が気になって組織を立ち上げたのですが、政治に働きかけていくことが大事だと考えるようになりました。子どもの意見も政治家に届くようになればいいな、と」

 私たちは日頃、自分の暮らしを回すことにせいいっぱいで、何か環境のため、世の中のためにいいことを……と思っても実際に行動することは少ない。エコバッグを使うのがせいぜいという人も多いはずだ。「だから23年は河川や公園など公共の場を掃除することから始めましょう」とまでは言わないが、日本のために前向きなことをしたいという気持ちは明確に持っておきたい。何かの折に動き方が変わるはずだから──。

 川崎さんは15歳から、ヘルスケアやバイオ燃料事業を行うユーグレナ社の2代目CFO(最高未来責任者)を務めた。“年齢は18歳以下。業務は、会社と未来を変えるためのすべて”という条件の募集を見つけて自ら申し込み、任命されたのだ。ユーグレナで印象に残っている活動は「新入社員が早く会社に慣れ、自分らしく活躍してもらうために、彼らのサポート役2人(ペアレンツと呼ぶ)を年齢・役職を問わず選定する人事制度」の提言だった。

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