※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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脳梗塞の治療法は大きく進歩しているが、残念ながら「治療すれば終わり」という病気ではない。後遺症に対する早期リハビリの大切さと、生活習慣病の治療などによる再発予防の重要性について、専門医に聞いた。

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 脳梗塞を起こすと、血管が詰まって血流が途絶えるため脳の神経細胞が壊死してしまう。短時間で血流が再開すれば回復が見込めることもあるが、発症から長時間経過し、完全に壊死した細胞を再生させることは現代の医学では不可能だ。そのため、脳梗塞では後遺症が残ることも多い。

 症状は発症した脳の領域により異なるが、多くみられる後遺症として、意識障害や手足のまひ、言語障害(言葉が出ない、理解できないなど)、嚥下(のみ込み)の障害、認知機能(記憶、理解、空間認識など)の障害などが挙げられる。「認知症を合併することも多い」と、横浜新都市脳神経外科病院院長の森本将史医師は話す。

「認知症で最も多いのはアルツハイマー型認知症ですが、次に多いのが脳卒中の後遺症などによる脳血管性認知症です。症状のない無症候性脳梗塞でも、認知症のリスクが高まるといわれています」

 後遺症が残るか、残らないか、また残る場合の程度の差は、脳梗塞の重症度や患者の年齢、持病の有無などによる。国立循環器病研究センター病院副院長の豊田一則医師はこう話す。

「重症度が最大の要因で、加えて年齢が高いほど、そして糖尿病などの生活習慣病がある人ほど重い後遺症が残りやすい傾向があります」

 さらに、血栓溶解療法や血栓回収療法などの治療を受けた場合も、「より早期に治療できたほうが経過は良い」という。

「発症から治療開始までの時間が短いほど治療効果が得られやすいという研究報告は多くあります。どれだけ早く治療できるかがその後の経過に関わる大きな要因といえるでしょう」(豊田医師)

■リハビリ病院との連携も重要

 壊死した神経細胞の再生は不可能でも、失われたからだの機能はリハビリにより回復が可能なこともある。治療と同様、リハビリも早期に開始することが望ましい。

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早くリハビリを始めたほうが治療効果は高い