今でも取材や撮影のため、たびたび東京に来る機会がある。何か視てしまったり、ざわざわしたりすることなどはあるのだろうか。
「人が多い(笑い)。漫画家としては、どうしても東京にいた方が仕事をもらえるので、若い時は私も東京に憧れて住んだりもしました。でも生活するうえで、人混みに向いてないことに気づきました。霊感についてですが、最初は普通の人には視えないものが視えてしまうことを、恥ずかしいと隠していました」
霊感があるのが、陰キャと思っていた時期もある。一般の人に「視えること」を伝える時に、どうしても「気持ち悪いでしょアピール」から入っていたこともあるという。
「友達は楽しく『心霊スポット行こうぜ!』って言うけれど、 私は視えてしまうし。でも、視えていても黙っていましたけれども、黒歴史みたいに思っていた時期は、過ぎました。漫画にして公言してもいますしね。仕事のために、視える感覚を漫画にして描こうというスタンスで、自分を納得させたのかもしれません。
霊感があることを知っている友達と一緒にお化け屋敷に行ったときに、私が“キャー”って言おうものならば、友達が大パニックになって逃げちゃうんです。だから、怖くてもあんまり騒がなくなりましたね。何かあっても黙っている。ハートが鍛えられました」
霊感があると伝えたら「嘘つき」というレッテルが貼られるかもしれない。でも、「霊感がある=クラスにいる足が速い子」ぐらいの感覚で思ってくれたらとも思う。
■地方取材では、ホテル選びで恨んだことも
地方取材の場合、ホテル選びは出版社の担当編集者が予約することが多い。その際、ホテルの外観を見て「あっ、失敗したな」と感じた瞬間、必ず視えて(出て)くるという。でも最後には「しょうがない。電気をつけて見えないようにしよう」とやり過ごしている。
「チェックインをして宿泊する階の廊下を見た瞬間に“あそこの部屋だな”ってわかるんです。私の部屋のところだけ真っ暗なの。“どうしてここを選んだの”と編集者を恨みながらドアを開けたこともありましたね。実際、ホテルに着いた瞬間から“死亡フラグが立っている”みたいなところもありました」