また、子どもに対する暴力を正当な行為だととらえてしまったり、自分の子どもをたたきたい衝動にかられてしまったりする「虐待の連鎖」に苦しんでいるという回答も複数あった。
手塚さんも幼少期を振り返り、思いを話す。
「私の場合は、たたかれ続けているうちに、いつの間にかむちが快楽のようなものに変わっていきました。私は親に愛されているんだ、これが愛なんだ。もっとたたかれたい、もっと愛されたいって。抵抗できない子どもがゆえ、認知が大きくゆがんで育ってしまうんです。さらに、他人や社会と接することもずっと制限されてきましたから、脱会してもどうしていいかがわからず、生きづらさに直面します。私と同じように、元2世信者の多くが苦しんでいます。『昔よくあった体罰を受けた』のではなく、幼少期に大変な思いをして、今も後遺症を抱えながら生きているということを知っていただきたいです」
淡々と話す手塚さんだが、時折うつむき、表情が苦しそうになった。
これらの行為について、教団はどう答えるのか。
AERA dot.がエホバの証人に対して「むち打ちを組織的に奨励してきたのか」「子どもへの輸血を拒否しているのはなぜか」と質問したところ、「具体的な事例が事実認定されているわけではない」として、エホバの証人の考え方を記したという「メディア用ステートメント(声明)」を送ってきた。
その中では、
「エホバの証人は児童虐待を容認していません。エホバの証人の出版物は一貫して、子どもを愛情深く教え導くよう親に勧めてきました。(中略)しつけには、子どもが悪いことをしたときに矯正することも含まれます。とはいえ、しつけは子どもに対する愛に基づいて行われるべきであり、決して虐待したり、冷酷に接したりすべきではありません」
「聖書に出てくる『懲らしめ』という語は、教え諭すことや正すことに関連しており、虐待や残酷さとは全く関係がありません。エホバの証人の出版物は『懲らしめ』を(1)愛情をもって(2)適度に(3)一貫して与えるように勧めています」