がん死亡者を部位別に見た際に、最も多いのが肺がんだという。助かるためには早期発見が重要だが、その症状は風邪に似ているため、見分けが付きにくい部分も。医師に見分ける方法を聞いた。
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国立がん研究センターが公開するがん情報サービスによると、17年にがんで死亡した人は37万3334人。死亡者を部位別に見ると、肺がんは7万4120人と最も多く、男性で1位、女性で2位だ。男女ともに高齢者の割合が大きい。
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)呼吸器外科長の坪井正博さんは、早期発見することで「死亡のリスクを下げることができる」と話す。08年から09年に同病院に肺がんで登録した人の5年生存率をステージ別に見ると、ステージ1で73.6%、2で50.2%、3で20.4%、4で4.2%と大きな開きがある。肺がん分野では新たな免疫療法に注目が集まるが、「進行がんより比較的早期のがんに、より効果があるかもしれない」(坪井さん)という。
早期発見できれば助かる可能性も高まるが、そのサインは見えづらい。
「進行してもまったく症状が出ない人もいますが、風邪は万病の元と言うように、肺がんでも咳や痰など、風邪のような症状が現れやすい」
しかし、風邪をひくたびに肺がんを疑うわけにもいかない。坪井さんは指摘する。
「風邪は1週間もあれば、たいていは治るでしょう。しかし、2、3週間たっても治らず、咳が出ていると要注意です。咳といっても、特に痰の絡まない、乾いた音を立てる『空咳』です」
東京都の団体職員、堀均さん(67)は00年6月、肺がんと診断された。ステージ3だった。
体の異変に気づいたのは、同年の2月。堀さんは振り返る。
「重度の花粉症で、例年、節分あたりから、ゴールデンウィークが終わるころまでは、花粉症の症状に悩まされました。目がかゆく、鼻水が出るという症状だったのが、その年からは咳も出るようになりました」