ちなみにこのイルカ、結婚した時にも連れてきたほか、長期旅行にも持参。あるとき、夫の実家で姪っ子に見つけられて「いい年して怖い」と気味悪がられたけど、なんだ。立派なルーティンだったんじゃん。

 私の場合、このイルカタッチのあと、田中さんが例に出してくれたように犬をなで、今までも寝る前の日課になっているスマホのニュースチェックをナイトモードで5分程度。これをベッドに入ってからの儀式とすることにした。

 こうして走って、コーヒーを我慢して、タッチして、なでて、などを1週間。睡眠時間などを記録した睡眠日誌を見直してみると、明け方の悪夢は仕事が終わらず、夜逃げを検討した日に1度だけ出てきたが、「睡眠は量より質」と割り切って、そのまま起床。思い込みが激しいタイプというのもあるんだろう。その日は4時間睡眠でも、昼間の眠気がきつくなったなどの自覚は、私の場合なかった。

 実践前にやっていた世界的に使われている「アテネ不眠尺度」という自己テストでは、寝つきはいいものの、予定より早く起きてしまったり、「日中の活動が低下」気味で、合計6点を獲得。「不眠症の疑いあり」の判定だったが、実践後は睡眠時間の感覚や眠りの質の項目が改善された気がして、このままいけば「不眠症の疑いが少しあり」に昇格できるかもしれない。

 ここで一つデータをご紹介しよう。昨年から企業向けに8週間の睡眠力向上プログラム「Sleep Styles」の提供を始めた企業「帝人」が、社内で行った実証実験のデータだ。

 そのプログラムとは、(1)アテネ不眠尺度などを使って不眠傾向の有無を把握(2)スマホを使ったオンライン学習で睡眠の知識やコツを学ぶ(3)コーチングアプリ上で睡眠日誌をつけながら、アドバイスを受ける。寝つきが悪い人には腹部に巻くウェアラブルセンサーを提供し、深い呼吸のタイミングを音声ガイドで伝える──という3ステップ。

 センサー以外は、今回、やってみた実践をちょっとハイテクに、そしてちょっと高度にしたものをイメージしてもらえばいいと思う。

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