各自治体が待機児童対策に取り組んでいるが、地域によっては認可保育園への入園はかなり激戦だ。そして、政府の目玉政策でもある『幼児教育・保育の無償化』推進で、さらなる保活の激化が懸念されている。
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2月上旬に育児アプリ制作会社の「カラダノート」を通して全国の保活経験者にアンケートを実施すると、保活に苦しむ親たちの悲痛な声が多く寄せられた。現在「保活中」だという585人では79人が「今年の1次選考で落ちた」と回答した。
保育園への申込者数が今後さらに増加しそうな要因は、今年10月から導入される「幼児教育・保育の無償化」だ。対象は3~5歳児の全世帯と、0~2歳児の住民税非課税世帯。認可や認定こども園、一部の幼稚園の利用料が無償化され、認可外保育施設の利用料も条件付きで補助される予定だ。
18年5月、朝日新聞が東京23区や待機児童が100人以上(17年4月時点)の自治体など87市区町村を対象に調査したところ、8割以上の自治体が、無償化の影響などで今後は「保育ニーズが増える」と回答した。その一方で、保育園整備や保育士確保などは追いついていない。受け皿の整備が追いつかなければ、待機児童数は増えるだろう。
実際に「無償化」を先行させた自治体では、待機児童が急増している。代表的なのが、昨年に待機児童数トップとなった兵庫県明石市だ。同市は16年度から、所得制限を設けずに第2子以降(0~5歳児対象)の保育料を無償化してきた。すると、17年4月には待機児童が53%も増えて544人に。18年度も入所希望者が17年度をさらに664人上回り、待機児童数は586人で全国最多となった。「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんはこう語る。
「明石市だけでなく無償化を先行した自治体では、保育園への申込者数が増えています。保育園も幼稚園も無料なら、預かり時間の長い保育園を利用して、思い切って仕事をしたいという保護者は少なくない。子育て中はパートタイム勤務を希望する母親も多いが、保育料が高いと仕事をしても見合わない。でも保育料が無料ならば、働こうという意識になるので、申込者数が増えると考えられます」