支出の中で横山さんが気になったのは保険だ。大黒柱である夫に医療保障はあるが、死亡保障がない。「遺族年金でなんとかなると思っていた」とはいうが、遺族年金は子どもが18歳になると保障が大きくダウンするので、やや心もとない。

「一時金が出るタイプもいいですが、毎月お給料のように保険金を受け取る収入保障保険がいい。年数が経過するほど受け取る保険金の総額が減るぶん、保険料が割安です」(横山さん)

 1820ドル(約20万200円)を年払いしている外資建て終身保険も為替リスクなどが高く最適とはいえない。保険会社の営業担当者から学資保険の代わりに勧められたというが、今回登場する3世帯すべてがこのタイプの保険に加入していた。自社の利益が大きい商品を積極的に販売する保険会社の姿勢が見て取れる。

「iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(積み立て投資専用の少額投資非課税制度)にも興味があります」

 iDeCoは節税しながら老後資金を積み立てられる制度で、つみたてNISAは20年にわたって利益に課税されずに投資できる非課税制度だ。

「積み立て投資、いいですね! まず生活費の半年から1年分の貯蓄をつくることを優先してください。iDeCoは月5千円から、つみたてNISAは1千円でも始められるので、少額なら並行してもOK」(横山さん)

 夫婦そろって60歳で定年するまであと26年も時間があるのは大きな強みだ。
「積み立て投資を26年続ければ、運用次第で元本が倍になることも期待できます。時間を味方に、コツコツ続けましょう」(同)

 使途不明金の7万4千円のうち、たとえば3万円を積み立てに回して2%の運用ができれば26年後に1226万円の資産となる。iDeCoは所得税と住民税を節税できるが60歳以降しか引き出せないため、教育費として使うならつみたてNISAを。(ライター・森田悦子、編集部・中島晶子)

AERA 2019年2月25日号より抜粋

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