全国1300棟超の賃貸物件で建築基準法違反が見つかったレオパレス21。背景にあるのは甘い言葉で地主をその気にさせ、物件を「大量生産」するビジネスだ。
「多大なるご迷惑をおかけし、申し訳ない」
2月7日、レオパレス21の深山英世社長は記者会見で、外壁や天井の耐火性能、遮音性など国の定める仕様を満たさない法令違反の物件が、新たに33都府県でのべ1324棟見つかったと発表した。補修のため最大で住民計1万4443人に引っ越しを求めるが、うち641棟は天井の耐火性能を満たさず特に危険なため、住民計7782人にはすぐに引っ越しを要請するという。
レオパレスでは昨年から法令違反が相次いでおり、昨年4月に86棟、同5月に38棟の法令違反を公表。その後これまでに施工した約3万9千棟を全て調べていた。
●通帳見てるだけでいい
いったいなぜ、これほど多くの法令違反が繰り返されたのか。カギを握るのは、レオパレスのビジネスモデルだ。
レオパレスの賃貸アパートの持ち主は、地主らだ。広い土地を持つ地主を見つけては、営業社員が訪問する。
「30年間家賃を保証します」
「オーナーさんは何もせず通帳だけ見ていればいい」
そんなセールストークで、建設を決意させる。首尾よく受注すれば高額のインセンティブが入るため、営業社員は熱心に訪問を繰り返す。1棟建てたオーナーには、畳み掛けるように2棟目、3棟目を提案する。
地主には、経済にうといお年寄りも多い。以前、同社の顧問をしていた男性は「発想は今でいうオレオレ詐欺に近い。いかにうまく誘って利益を抜くかを重視していた」と語る。
●低入居率が経営を直撃
だが、バラ色のセールストークとは裏腹に、家賃が契約通りに入金されるのは最初の数年だけという例も多い。入居者が計画通りに集まらないためで、早いものだと2年後には家賃の減額を提示されるようになるという。
不人気の原因の一つは、前出のビジネスモデルによって、駅から遠かったり周囲に商業施設がなかったりする立地条件の悪い土地にまでどんどん物件を建ててしまうこと。もう一つは、建物の品質の低さだ。