記録的な大流行となったインフルエンザ。症状が出ているときだけでなく、病み上がりにも細心の注意を払うべきだという。医師らが回復のための方法をレクチャーする。
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「症状が消えた=インフルエンザの感染リスクがゼロ」ではない。無理をして出勤し、人にうつしてしまってはいけないが、インフルエンザになってもゆっくり休めないのが日本人だ。学校保健安全法では、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまでが出席停止期間だ。
「職場復帰の目安は労働安全衛生法の規定はありませんが、学校保健安全法と同様に考えるべきです」(国際医療福祉大学熱海病院検査部部長の〆谷直人さん)
インフルエンザにかかった後は体力も落ちている。いつも以上に食生活に気をつけなければならない。横浜創英大学名誉教授で管理栄養士の則岡孝子さんは言う。
「体力を回復させる食べ物としては、消化のよいうどん、お粥が最適です。たくさんの肉や揚げ物など消化の悪いものは、インフルエンザの症状が治っていても、胃腸に負担をかけ、下痢を起こしたりします」
腸には体の6~7割の免疫細胞があると言われているが、これらの免疫細胞は腸が冷えていると働きが悪くなる。温かい食べ物を取ることで、腸が温まり、免疫細胞の活性化につながる。インフルエンザウイルスは突然変異を起こしやすく、1シーズンに2度目のインフルエンザを発症する可能性もある。だから免疫細胞を活性化する食事は、回復期の食事として、そしてインフルエンザ予防の食事としても役立つと、則岡さんは言う。
効果のある栄養成分として、ウイルスや細菌などを排除し、病気への抵抗力を高めるタンパク質、ウイルス感染や寒さへの抵抗力をつけるビタミンC、ウイルスの侵入口となる鼻や喉の粘膜を丈夫にするビタミンA、白血球やリンパ球の働きを良くして免疫力を高めるビタミンE、強い抗菌作用と免疫力アップ効果を持つ硫化アリル、不足すると免疫機能が低下する亜鉛などを挙げる。