自分が発症しても、家族にうつしたくない。一つの部屋から極力出ないようにすることができればいいが、そうもいかないなら、飛沫感染のリスクが高い相手の顔の正面に立つことはやめ、マスクや手洗いなどの基本的対策をしっかり行う。

「呼吸器疾患、糖尿病、高齢者など重症化しやすい人には予防として薬を処方できます。ただし、自費診療になります。何の症状もないのに、『受験生だから予防として』というのは、むやみに薬を使うと耐性ウイルスができてしまうという問題から、処方できません」(池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さん)

 人にうつさないためにも、咳エチケットが大事だというのは、国際医療福祉大学熱海病院検査部部長の〆谷直人さんだ。

「咳やくしゃみの時はティッシュペーパーで口と鼻を覆う。使用したティッシュペーパーはすぐ捨てる。呼吸器分泌物に触れた後には、アルコール消毒などをする。そして、可能な限りマスクを着用することです」

 インフルエンザは、人によっては死をも招く病気だ。〆谷さんによれば、米ニューヨークでの調査でインフルエンザ死亡者の7割に基礎疾患があった。その内訳は、喘息またはそのほかの呼吸器疾患29%、糖尿病31%、心疾患18%、何らかの理由による免疫低下22%。過度な肥満もリスク要因になるという。医療機関でのインフルエンザ対策が確立されている日本とアメリカでは事情が違うとはいえ、基礎疾患がある人は要注意だ。

「基礎疾患がある人は、状況に応じて医療機関で入院の必要性の判断が求められます。高熱が1日たっても下がらない、咳が激しくなる、胸が痛い、尿が少ない、呼んでも反応が鈍い場合は、入院を躊躇してはいけません」(〆谷さん)

(ライター・羽根田真智)

AERA 2019年2月18日号より抜粋

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