命に関わる病・がん。早期発見のために、医師たちはそのためにどんな検査を受けるのだろうか。医師専用コミュニティーサイト「MedPeer(メドピア)」の協力のもと、がん診療経験のある医師540人にアンケートを実施。さらに『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』の著者、近藤慎太郎医師にも取材し、最新のがん検診に迫った。
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子宮にできるがんには、入り口にできる子宮頸がんと体部にできる子宮体がんがある。子宮体がんは早期発見が難しいが、入り口にできる子宮頸がんは婦人科診察で検査しやすい。
子宮頸がんは、30~40代と比較的若い女性に多い。20~30代の発症も増えているという。
「子宮頸がんの発症には、ヒトパピローマウイルス(HPV)が関係していることがわかっていて、子宮頸がん患者の90%以上からHPVが検出されています」
HPVの主な感染ルートは性交渉で、性交渉の開始とともに50~80%の女性が感染するといわれている。感染しても90%以上の人はウイルスが自然に駆除されるが、感染が続くと、子宮頸がんが発症するリスクが上がってしまう。
会社員の女性(38)の場合、子宮頸がんの検診は、会社の成人検診で配られる検査キットを使って行う。自分でやるより医師にやってもらったほうが確か、という記事を女性誌で読んだ記憶もあるが、「わざわざ行くのも億劫(おっくう)だし、自分でやってわかるならいい」という考えだ。
医師にやってもらう、あるいは自分でやる細胞診が、これまで子宮がん検診では一般的だった。細胞診で子宮頸がんの死亡率が60%下がるとも報告されている。
だが、子宮頸がんの検診方法は、世界的に転機を迎えている。
「細胞診に代わって、HPVのDNAなどを調べるHPV検査が主流になりつつあります。HPV検査も細胞診同様、子宮頸部から採った細胞を使います。HPVに感染しているかをチェックして、HPV陽性のグループだけに精密検査を行うという考え方です。オランダの大規模な臨床試験ではHPV検査単独で十分という結果も報告され、オランダ、イタリア、イギリス、オーストラリアなどではHPV検査単独の検診を取り入れつつあります」(近藤医師)