AERA 2019年2月4日号の表紙に登場した稲垣吾郎さん
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 人生の折り返し地点に到達した3人の男たちの友情を描く映画「半世界」に主演した稲垣吾郎。「新しい地図」が本格的にスタートした昨年を振り返り、今後の抱負を語った。

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 映画は多くの人が40歳くらいになると考えるに違いない「人生の折り返し地点に来た時に、残りの人生をどう生きるか」がテーマ。だが、稲垣は意外にも、「40歳」を特別意識しなかったと振り返る。

 なんと言ったらいいのかな。その年になる時にはすでに覚悟ができているんです。40歳ならアラフォーと言われる時から。そう、38とか37.5歳くらいからかな。もう随分前から40になった気がする(笑)。何事もそうですね。新年を迎える時もすでにそういう気分になっています。振り返ると、僕はそんなふうに人生をせかせかと進んできたのかもしれません。今、自分で話しながらそう思いました(笑)。

「人生の折り返し地点」といっても時代が変わっていますから、最近はいつが折り返しになるかわかりません。僕自身は物事を逆算で考えることはしないんです。ただ、今は環境が変わったので、これまでのこととこれからのことを考える時間が多くなったのは事実。もう無我夢中に突っ走っている時代ではないと思っています。ただ、うかうかしててはいけないし、だからといって急ぐこともないと思う。僕は急いだり焦ったりすることが嫌いなんです。

 稲垣にとって、「新しい地図」は人生の折り返しではなく、あくまで人生の再スタートだ。

 人生はこれからもっと楽しくなっていくと思う。物事を前向きに捉えています。環境が変わったからできた新しいこともいっぱいありますから。新しいものを得る時には、何かを失わないといけない瞬間があるかもしれない。そうやって人生は変わっていくものではないでしょうか。それは僕らだけではないと思います。特に、女性はどんどんステージが変わるでしょう? 同じステージで変わらず長く活動してこられたことの方が珍しいと思います。みんな変わるんですよ。再スタートは珍しいことではありません。皆さんの方が再就職とか、よっぽどそういう経験をされている。僕らは恵まれた温室の中で同じことを14歳くらいからやってきました。だから、こういう変化はあって当然だと思うし、そこに今までの経験を生かせればいい。僕はそうあっけらかんと考えてます。

 映画のタイトルになっている半世界。哲学的とも思える言葉だが、阪本監督はその意味を「もう一つの世界」と捉えている。稲垣はその言葉をどう感じたのだろうか。

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