


AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。
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チワワちゃんが死んじゃった。でも誰もチワワちゃんの本名を知らなかった──。岡崎京子原作の映画「チワワちゃん」は、友人の死をきっかけに若者が自分たちの生きた「瞬間」を振り返っていく物語だ。
門脇麦(26)は「死んでしまったチワワちゃんがどんな子だったか」を、仲間に聞いて歩くミキを演じる。
「ミキ役はつかみづらい役でした。まず私自身、彼女たちのようにクラブで遊ぶような経験をまったくしてこなかったので。それに主人公だけれど、ミキが何を考えているかは、実は脚本にも描かれていなくて」
役をつかむきっかけになったのは、衣装だ。
「衣装合わせで試行錯誤した結果、白いTシャツにパーカなどのシンプルな服装で収まりました。そんな格好で遊びに行けるミキは、実は自信と『核』があると自分では思っている人なのかな、と。私もグループ内で一歩引いて俯瞰しているようなところがあるので、そこはミキに似てるかもしれません」
時代を超えて支持される岡崎京子作品への想いもある。
「時代が岡崎さんにようやく追いついた感じがしました。岡崎さんは華やかなスポットライトを浴びている人と、そういう人たちの『終わり』みたいなものをよく描いている。それはいまSNSでガッと火が付いて、でもパッと消えてしまう──そんな感覚にすごくリンクすると思います」
自身の青春は4歳から始めたバレエだった。だが中2で道を断念し、高校時代は家でひたすら映画を観続けた。
「目標を失って『次の道を見つけなきゃ』と必死でした。何かを作ることに参加したくて、俳優を志したんです」
デビュー後はさまざまな役に体当たりしてきた。いつも役によって印象が違う。「キメ顔」など作らず、どう撮られても気にしない──そんな自由さと、覚悟を感じる。