「有酸素運動をすることで全身の機能が働いて、やる気や幸福感を与えてくれる脳内物質が分泌され、不安や恐怖といった気持ちを抑えられます。ウォーキングやヨガがいいとされていますが、休日にウィンドーショッピングをしながら歩くこともよいでしょう」と続ける。
「最後は、自我の形成、適応の促進をうながすための方法として読書もよいかもしれません。語彙(ごい)を増やし、自分の言葉を持つことで、自分の思いや考え、取り巻く事象を正しく捉えて、悩みの要因を把握し、解決へと導きやすくなります。認知行動療法もしやすくなると思います」
もしも、自分で解決できそうにない場合は、専門家に相談することも検討しよう。
「ボーダーラインは、例えば知人に相談しても悩みが緩和されない、考えが修正されない、周りの人の言葉が入らないくらいに思考がかたくなで強固になってしまったような時。さらに登校や出勤ができないほどの重度になると、精神科や心療内科を受診し、カウンセリングや投薬治療を行うことになるでしょう」
最後に、自分は視線恐怖症かもしれないと悩む人に向けて、みき氏は次のメッセージを送る。
「実は、環境への適応とは周りに合わせることからではなく、自分をしっかりと持つことから始まります。周りに過度に忖度(そんたく)せず、自由にわがままに生きてもいいと思います。自由でわがままに生きているからといって、人望がなくなり人が離れていくわけではありません。反対に、しっかりと自分を持っているから人に好かれることもあります。視線恐怖症の気配を感じたら、まずは自己中心的に生きることを意識することからはじめてみてください」
(文・安倍季実子)