
いきものたちのブラックともいえる厳しい生態やオキテを、脱力系のタッチで紹介する『ブラックないきもの図鑑』(朝日新聞出版)が12月14日に発売された。動物たちが自分の言葉で、厳しい現実を嘆き、その解消策となる格言も示される。ジャイアントパンダの嘆きとは?
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【ブラックないきものからの悩み】
ジャイアントパンダですが…… 双子を育てる自信がありません。一匹はほったらかしです(メス・7さい・笹マニア)
3日前に子どもが産まれました。それが……双子だったんです。うれしい反面、いまは不安で頭がいっぱいです。
正直にいうと、2頭同時には育てられない気がしています。旦那が食べ物をとってきてくれればいいのですが、オスは一切子育てはしません。私一人で、2匹の子どもを抱っこなんて考えられないですね。落っことしちゃうし。
それに栄養が足りなくて、2頭分のお乳が出ないんです。私たちが食べてる笹って、元々ほとんど栄養がないし……。そのせいで、長いときは1日16時間ぐらい食料探しや食事をするのに時間をさかなければなりません。いつ子どもたちの面倒をみればいいのでしょうか……。
本当につらいのですが、体の小さい子のほうは犠牲になってもらうしかない気がしています。
■こんな風に生きてます
パンダは、40~50%の高い確率で双子を産みます。しかし育てるのは、体の大きい子のほうだけ。もう一方の子は、ほったらかしにされて飢え死にしてしまいます。冷たい言い方ですが、体の小さな子パンダは、体の大きな子パンダが病気などで死んでしまったときの“予備”でしかないのです。残酷ですが、これも厳しい自然界を生き抜く掟の一つです。
■お悩み解消格言
人生の悲劇の第一幕は、親子となったことに始まっている。(芥川龍之介/小説家)
(文/ラポリ)