「こんなやり方はおかしい」と多くの保護者が思っているポイントを、突破口に変える。すると、活動の意義やメリットに気づく人が増え、さらに改革が進むという好循環が生まれるのだ。

学校の外からPTAを変えることに挑む人もいる。兵庫県伊丹市の小学校でPTA役員をする女性(41)は、沈黙して涙ぐむ人まで出る役員決めや活動の負担の重さに疑問を抱き、「委員会制を見直したい」と校長に伝えたが、即座に却下された。

「内部から変えるのは難しい」と感じ、ネットや人づてでたどり着いた議員に相談したところ、市議会で取り上げてもらえた。最近は地元の図書館でPTAについて考える座談会を始め、周囲の保護者も巻き込んでいる。

 退会した立場からPTAを変えるのは、大阪府吹田市の女性(49)。5年前、小学校のPTAのクジ引きで、ある委員長になった。改善に取り組んだが、委員のメンバーはいやいや感に満ちあふれていた。その不毛さに嫌気が差し、翌年退会を申し出ると、「転校されたらどうですか?」などと嫌みを言われた。だが女性はあきらめず、PTA会長や校長が代わるたびに、PTAの本来のあり方について対話を続けた。後にこのPTAでも入会届が導入された。

「勇気を出して、おかしいことはおかしいと言っていくことが大事なんだと思います。無駄に思えるかもしれないけれど、きっと誰かには届いているはず」

 PTA改革に欠かせないもの。それは「変えたい」という強い意志と、思いを共有する仲間だ。(PTAジャーナリスト・大塚玲子)

AERA 2018年12月10日号より抜粋

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