飲みニケーションに効果があるとは言われるが、参加できない人もいるのも事実だ。働き方が多様化する現代では就業時間内でも、飲まなくても、関係は深められる。「業務時間外に飲み会を開く」以外の方法でコミュニケーションを活性化する企業を取材した。
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飲み会でコミュニケーションは深まるかもしれない。でも業務時間外なのに仕事のために時間を割くのはもやもやするし、小さい子がいるなどして参加できない人もいる。「飲み会に行く」以外になんとかならないの?
そもそも企業はなぜ、今再び飲みニケーションを重視し始めているのだろうか。HR総研が企業の人事担当者を対象に昨年実施した「社内コミュニケーションに関する調査」(有効回答312件)では、77%の企業がコミュニケーションに課題があると回答した。松岡仁主席研究員(55)はこう解説する。
「多くの職場で、働き方改革により残業規制やテレワークの導入が進んだ結果、対面で人と関わる余裕がなくなってきています。コミュニケーションの手段が対面や電話からメールやSNSなどに変化したことで、グループ外の人には誰が何をしているかわかりにくくなった。成果主義の行き過ぎで個人主義やセクショナリズムが強くなり、助け合いの精神が弱まっていることも影響しています」
働き方が多様化したからこそ社内のコミュニケーションが重要なのに、うまくいかない現実がある。飲みニケーションは、それを解消するために導入されているとみられる。そんな中、「業務時間外に飲み会を開く」以外の方法でコミュニケーションを活性化している企業もある。
転職サイトの運営などを行うキャリアインデックスでは、週に1度、システムでランダムに決めた3、4人のチームで昼食を食べる制度がある。ランチ代は会社持ち。午前11時45分に昼休みが始まると、オフィスの入り口付近で集合。取締役CFOの齋藤武人さん(40)によると、どこへ行きましょうか、から始まるのがミソだという。
「一緒になった同僚の好き嫌いや、その日の体調、前日に何を食べたかなど話しながら店を選ぶ。そうした中で相手を思いやり、理解していくんです」
32人の社員は8チームに分かれるが、1チームは電話番のため、デリバリーを頼んでオフィス内で食べるという。その代金ももちろん、会社持ちだ。