それなのに、飲みの席で饒舌になった正社員たちは「なんで正社員にならないの?」などと平気で聞いてくる。社内に、雇用形態による「階級」ができあがっていることに気づかず、いつまでも「みんな一緒」の意識でいる正社員の相手をするのは疲れるし、傷つくことだらけだ。「一億総中流」といわれた時代は終わり、職場は正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、業務委託契約社員などさまざまな雇用形態の人が集う場になった。総務省の労働力調査によれば、2017年の正規の職員・従業員は3423万人で、非正規の職員・従業員は2036万人。被雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は37.3%。約4割が非正規雇用者だ。
会社の飲み会は、こうした職場のゆがみが最も現れる場でもある。飲み会やお酒はコミュニケーションを潤滑にする力があるが、たがが外れて、これまでなんとか保たれていた(かのようにみえる)職場の秩序が崩れ落ちる危険もある。
まもなく忘年会シーズンだが、宴席を囲む人たちの中にもボーナスがもらえる人ともらえない人という歴然とした差が生じる。経団連は11月中旬、大手企業が支給する冬のボーナスの第1回集計を発表。平均妥結額は95万6744円と過去最高だというが、連合の2018年の調査では、非正規雇用の64.4%がボーナスをもらっていない。(編集部・深澤友紀)
※AERA 2018年12月3日号より抜粋