圧倒的な知識量と瞬発力で、魔法のような解答を繰り出すクイズ王たち。彼らはどんなトレーニングを積み、どうやって知識を脳に詰め込んでいるのか。勝つために、何を覚えるのか。『史上初! これ1冊でクイズのことがまるっとわかる クイズ用語辞典』(三木智隆、石野将樹、徳久倫康 著/田中健一 著・監修)ではその秘訣(ひけつ)を、大規模クイズ大会の主催者が解説している。抜粋して紹介したい。
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「クイズが趣味です」というような話をすると、「クイズが趣味って、具体的に何をするんですか?」「クイズの勉強の本とか見たことないんですが、特別なテキストとかあるんですか?」など、いろんな質問を受けます。「クイズの勉強」「クイズのトレーニング」とは一体どのようなものか、一端をご紹介します。
まずは、多くの強豪プレーヤーが実践している「過去に出題された問題の読み込み」から見ていきましょう。プレーヤー間では「座学」と呼ばれることが多いです。クイズの世界には、何十年も前から繰り返し出題されてきた「ベタ問題」が存在します。有名なものをいくつか紹介します。
「不動産広告の徒歩1分は何メートルを指す?」
「1円切手の肖像に描かれる、郵便や切手という言葉を考案した人物は誰?」
「間口が狭く、奥行きが細長い家屋を、ある生き物の名前を使って何の寝床という?」
「ベートーベンが完成させた唯一のオペラは何?」
「競馬や競輪などの公営競技に共通する、1枠の枠番の色は何色?」
答えは順に「80メートル」「前島密」「うなぎの寝床」「フィデリオ」「白」です。この5問は、基本中の基本といえる問題です。クイズが得意な人ならほとんど正解できるでしょう。例えば「パネルクイズ アタック25 next」の予選では、これらの問題が今でもよく出題され、クイズの経験の有無によって差がつく問題になると推察します。
「ベタ問題のマスター」とは、このような「よく出る問題」をフルカバーすることを指します。資格試験の対策のように、丸覚えしてしまうことが多いです。それでは、そのようなベタ問題は、一体何問ほどあるのでしょうか。