県議選の当選が決まり、広島市内の事務所で支援者にあいさつする渡辺典子氏=2023年4月10日
県議選の当選が決まり、広島市内の事務所で支援者にあいさつする渡辺典子氏=2023年4月10日
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 2019年の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、河井克行元法相(60)=服役中=から現金を受け取ったとして正式起訴され裁判を待つ9人の被告のうち、広島県議や市議5人が立候補し、そのうち4人が4月9日投開票の統一地方選で当選した。広島県議の渡辺典子氏(38)もその一人。裁判はすでに始まっており、第2回公判が25日に開かれる。今回の当選後、「無罪だと確信しています」と述べた渡辺氏。取り調べの様子からは、検察の強引な捜査も見えてくる。

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 2019年の参院選で広島選挙区から出馬し、当選した河井案里氏(49)。その後、夫の克行氏とともに2900万円を地元の首長らに配ったとして公職選挙法違反(買収)の罪に問われ、2人とも有罪が確定している。

 そして、河井夫妻から現金を受け取ったとされる広島県内の首長、地方議員、後援者は100人。そのうち34人が起訴(うち25人は略式起訴)された。

 渡辺氏は、克行氏から10万円を受け取ったとして、同法違反(被買収)の罪で在宅起訴となった。

 今回の選挙で、被告として当選した渡辺氏ら4人の議員は、裁判で罰金刑以上の有罪が確定すれば失職することになる。

 広島地裁で3月16日にあった初公判。

 検察側は冒頭陳述で、渡辺氏が2019年5月に参院選への協力依頼のため地元企業を訪れたときのことについて、

「克行氏から案里氏の支援を頼まれ、2人きりの車内で現金10万円入りの封筒を受け取った」

「現金の領収書を発行せず、政治資金収支報告書にもすぐ記載をしていない」

 などと指摘した。

 弁護側は、現金は克行氏から毎年受け取ってきた寄付金と主張。

「選挙の時期と重なったため、案里氏の選挙運動の報酬とこじつけられた。買収の目的は一切ない」と述べた。

 渡辺氏も「やましいお金を受け取ったことは一度たりともありません」と無罪を主張。

自民党第3選挙区支部から年2回10万、合計20万の寄付金を例年受け取り、収支報告書に記載、報告し、後援会経費として適正に処理しております」

 と訴えた。

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「決定的な証拠なのでお見せできない」