「疲れて授業中に眠くなることもありますが、親に負担をかけず、夢のために勉強できていることがうれしい。大学生の自分が今のような職場で働く経験はなかなかできない。大変さ以上に、仕事も勉強も楽しんでやっています」

 東洋大学へ進学することを親に告げたところ、父親も東洋大の夜間出身だったことが判明した。ことのほか喜んでくれたという。

 福留さんの仕事は、大学の教員に高校での模擬授業を依頼するなど、教授とかかわる機会が多い。黒崎さんは高校生に大学のことを説明したり、オープンキャンパスで大学生アルバイトスタッフの指揮をとったりしている。

 2014年にスタートし、今年の春、同制度で入学した学生が初めて卒業を迎えた。6人のうち3人が、学科の首席として表彰された。

「4年間部下として働いてもらったわけですから、感無量でした。職場でも苦学している学生を応援したいと、みんなで体調に気を配ったり、いろいろアドバイスしたりしていましたね」(加藤部長)

 働きながら学んだ経験が評価され、就職活動も順調だという。

「将来のビジョンを持っている学生が多く、自分の描いたキャリア目標への就職を実現しています。7社から内定を得た学生もいました」(同)

 19年度からはWEBでの選考を導入する。学長の授業を視聴して課題論文を書き、試験当日はプレゼンテーションで自分の考えを発表する。受験生の希望で、大学でも、WEB会議のシステムを使用して自宅でも受験できる。遠方の生徒なら交通費や宿泊費の節約にもなりそうだ。(ライター・柿崎明子)

※AERA 2018年11月5日号

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