「全体的に昨年より改善していますが、100自治体の平均は70%台で、希望者の4分の3しか入園できていません」

 決して一律に状況が改善しているわけではない“自治体格差”も見えてくる。回答方法がほかとは違うので一概には比べられないが、際立って入園決定率が低いのは港区(39.9%)。同区が独自認定している港区保育室などを含めても57.6%だ。

「港区は決して待機児童対策をサボっている区ではなく、認可保育園の定員を増やした割合は100自治体の中で2番目に高い。それでも入園決定率が低いのは、あまりにも人口流入が多いのでは」(普光院さん)

 千代田区(62.0%)など超都心でも数値が低迷しており、職住近接を求める人の増加が背景にあるのかもしれない。ほかに首都圏で入園決定率が低いのは、台東区(55.4%)、志木市(57.9%)、中野区(58.0%)、狛江市(59.5%)など。

「いずれも、保育園の定員を増やした割合は平均以上ですが、保育園のニーズに追いついていない状況です」(同)

 江戸川区と府中市は、昨年、突出して入園決定率が低かったエリアで、今年も低迷している。また、厚労省のデータで待機児童の増加数が都内ワースト1だった国分寺市は、入園決定率もやはり低い。

「国分寺市は昨年までは比較的、入園決定率が高かった。“保育園に入りやすい市”という口コミが広がり、子育て世代の人口が増えたのかもしれません」(同)

 同市でシングルで長男(5)と長女(2)を育てる女性も保活の壁に阻まれた。長女だけ市内の保育園に入れず、隣の国立市の認証園に通わせている。夫と死別し、実家のある国分寺市に戻ったが、親と同居していることが保活で不利に働いた。

「同居している実母は働いていて、家計も家事も基本的に別。ほとんど一人で子育てをしているのですが……」

 と女性はこぼす。長女、長男それぞれの保育園、そしてパート先の府中市。1時間半以上かけて3市を行き来する生活に疲れ果てている。

 保育園ニーズがこれだけあるからといって、簡単に入園枠を増やせない事情もある。国分寺市の担当者は言う。

「量の確保はしていかないといけないが、長いスパンで見た人口減少にどう対応するか……」

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