三つ鳥居をくぐり、随身門を抜けた先にあらわれる、三峯神社の色鮮やかな拝殿。拝殿脇には樹齢800年の神木、重忠杉がある(撮影/写真部・小原雄輝)
三つ鳥居をくぐり、随身門を抜けた先にあらわれる、三峯神社の色鮮やかな拝殿。拝殿脇には樹齢800年の神木、重忠杉がある(撮影/写真部・小原雄輝)
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 豊かな自然と神々の息吹に包まれる旅東京・池袋から特急で約1時間半。秩父が今、働く女性たちを惹き付けている。多くのパワースポットや観光地がある魅力的な土地。だが多くの女性が心を奪われた理由はそれだけではない。秩父には、目に見えない「何か」があるという。

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「やっぱり、ここは空気が特別なのかな」

 そう話す岐阜市の銀行員女性(41)が初めて三峯へ来たのは、6年ほど前のことだ。

 気ままな一人旅で、前日に秩父に入って観光し、翌朝一番のバスで三峯神社に向かった。当時はいまほど参拝客は多くなく、車内も空いていた。

 女性の仕事は、地方銀行の管理職。小さな職場は人間関係が密で、上司や同僚に振り回される日常に気疲れを感じていた。

「大きな『嫌なこと』がなくても、小さな『嫌なこと』が積み重なって、お腹のあたりが重かった。山に入っていくにつれ、それが軽くなっていく感じでした」(女性)

「狼を祀(まつ)った霊験あらたかな神社」だと調べてきたが、足を踏み入れて、研ぎ澄まされた空気に息をのんだ。特に感動したのが、遥拝殿(ようはいでん)からの景色だ。

「自分が山の中に溶け込んでいくような感覚。仕事の悩みは頭から消えてしまいました」(同)

 願をかけようとか、ご利益にあやかろうとかいう思いは不思議と浮かばなかった。

 以来、三峯に魅せられて、3度4度と通っている。神社の宿坊に泊まったこともある。この女性にとって、三峯は心身をリフレッシュさせてくれる大切な場所だ。

 三峯神社の縁起は約1900年前にさかのぼる。第12代景行(けいこう)天皇の時代、東国平定に遣わされた日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が帰りに三峯に登り、その道案内をしたのが「狼」だったと伝えられている。三峯の名は、雲取・白岩・妙法の三山が連なって見えるさまからつけられた。西武秩父駅からバスや車で1時間あまりかかる山中に位置するが、数年前から特に評判になり、現在は休日になると参拝客は引きも切らない。

 神奈川県から来たという保育士の女性2人連れは、三峯に詣でたきっかけをこう語った。

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