ヘンリーさん(22)はミャンマー・ヤンゴン生まれ。13歳で来日した。ミャンマー語、タイ語、日本語、英語の4カ国語が話せる。高校卒業後に大学進学したいという気持ちもあったが、生活の安定が魅力で企業内高校に進学。最初はもっと遊んでいたかったが、大学に進学した友だちが就職活動で苦労するのを見て、自分の選択は正しかったと思った。生え抜きのヘンリーさんは上司に信頼されており、アフターファイブは趣味のDJをして楽しむ。

「同期は責任を取りたくないというけど、自分は上へ行きたい。上司と飲むのを嫌がる同期が多いけど、自分は上司から経験談やアドバイスを聞くのが好き。会社で成長したいです」

 7月末、教え子が都立高校に進学しても6割は正社員として働けないという小林さんの談話が新聞に掲載された。その後、ぜひ働いてほしいという企業からの問い合わせが2件あった。そこに立ちはだかるのがビザの問題だ。しかし今年2月から、中3から日本の学校に在学して高校を卒業し、就労先が内定している等の条件を満たしていれば「家族滞在」から「特定活動」へ在留資格を変更することができ、就労が可能になった。

「企業は就労できるビザがあれば内定を出すと言いますが、特定活動ビザを取るにはまずは内定が必要なんです。ぜひ企業には一歩踏み出してほしいです」

教育は先行投資」と小林さん。

お金をかけることで納税者に育ってもらうということです。多言語が話せて、日本の文化や習慣が分かっている子どもたちはこの社会の財産。労働力不足から移民の話題が出ますが、この教室の子どもたちは既に日本に定住し、日本語ができ、日本の学校を卒業している。こういう子どもたちがいるということを企業に知ってほしいです」

(編集部・小柳暁子)

※AERA 2018年9月24日号より抜粋

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