NHK朝ドラ「半分、青い。」で“正人ロス”を起こし注目を浴びた中村倫也。“カメレオン俳優”と評される演技に惹きつけられるが、彼から放たれる言葉にも目が離せない。
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インタビューでは、“中村語録”とも言うべき、強い言葉をいくつも耳にした。
「作品はすべて“毒”か“薬”であるべきだと思う」
「考えや理論というものは、ある意味“鎧”。“剣”かもしれませんが。それを外して流れに身を任せているところはあります」
どこか達観しているように見えるのはなぜか。普段から、多くの本を読んでいるから?
「最近は漫画ばかりですよ(笑)。でも、15歳の頃に哲学に興味を持ち、色々読むようになりました」
物事の真理みたいなものを見たくなるのだという。人だったり現象だったり、エンターテインメントというビジネスだったり。
「そういう意味で、哲学は人生という命題を簡潔な言葉で表す学問なので、その頃からしっくりきたんです。15、16歳の頃からそういう性格というか、発想を持っていたんだな、というところは思い返すとありますね」
では、自身のコアな部分とは何なのか。
「それが一番分からないんです」と中村は言う。自分のことを見ることはできないし、自分のことは自分ではよく分からない。
「でも、役と向き合うことで自分を知ろうとしているのかもしれません。哲学にハマった頃から、『人生とは何だろう』といういわゆる思春期の自分探しをしていたので。その延長にまだ生きているのかもしれませんね」
(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2018年9月10日号より抜粋