そこから結婚もし、離婚もし、出産もし、いろいろな経験をしてきたんですけど、自分の中で「舞台に立つことはそれくらい生半可なものではない」という意識は今も続いています。
妙な言い方になりますけど、舞台に上がることに対して武士道みたいな感覚を持っているのかもしれません。舞台に出たら、今日来てくださったお客さんのために壁にぶつかって命を落としてもいい。シャレでも何でもなく、本気でそう思ってやってきました。ここも正解か不正解かは自分でも分かりませんけど、そう思ってお仕事にあたってきました。
あと、今は娘の力がすごく大きいと思います。こんなキャラクターなので、娘が学校に行っていじめられたらどうしようとか、その思いがあって、中途半端なことではダメだと。「お母さん、突き抜けてて、あそこまでいったらカッコいいやん」と言われるくらいまで行かないといけない。その思いが今の原動力にもなっています。
50歳を過ぎてからお仕事が増えて本当にありがたいばかりなんですけど、こういう取材で「今後の目標は?」みたいなことを聞かれることも増えました。
でも、これは今も昔もこれからも変わらないんだろうなと思います。結局、なんばグランド花月の2階席のお客さんにまで声を届ける。動きを届ける。そして、笑ってもらう。これをずっとやり続けるしかないんだろうなと。
……舞台の時の島田珠代とは全然違う話を延々してますよね(笑)。舞台の自分と普段の自分は本当に違っていて、何ともキャラクターにない話をしてしまっているのかもしれませんけど、実際、それしか考えていなくて。これからもただただ続けていく。そう思うばかりなんです。
(中西正男)
■島田珠代(しまだ・たまよ)
1970年5月10日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属。高校時代からMBSテレビ「4時ですよーだ」などに出演していたことをきっかけに17歳で吉本入り。NSC大阪6期生と同期扱い。吉本興業の東京進出攻勢に乗り、22歳でフジテレビ「笑っていいとも!」などに出演し全国的な知名度を得る。2008年に第1子となる女児を出産。股間を「チ~ン」と指で弾くムーブやハイテンションで「パンティーテックス」と連呼するギャグなどキャッチーなキャラクターで注目を集めている。関西テレビの報道番組「newsランナー」にも出演中。5月16日から22日まで大阪・なんばグランド花月の通常興行の新喜劇が島田珠代を中心とした35周年記念公演となる。ゲストとして藤井隆も出演。