ジャカルタで開かれた先のアジア大会の競泳で6冠を達成した池江璃花子。果たして東京五輪での金メダル獲得につながるのか。
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池江璃花子(18)に五輪への期待が今から高まるのは、しごく当然のことだ。アジア大会でMVPに選ばれるなど活躍した北島康介(35)や萩野公介(24)らが、それぞれ2年後の五輪で金メダルを獲得。アジア大会の活躍が五輪につながると見られているからだ。
6冠も凄いが、注目すべきはアジア大会前の8月に東京で行われたパンパシフィック選手権(以下パンパシ)。200メートル自由形で主要国際大会初のメダルとなる銀を獲得し、池江が五輪金に最も近いとされる100メートルバタフライでは56秒08と今季世界最高タイムで優勝したのだ。
171センチと世界のトップスイマーに比べれば小柄ながら、両手を広げたリーチは186センチ。一般には身長と比例する長さのはずが、人より約1割増しの長い腕で大きく水をかけるのが特長だ。高校3年生になった今季は筋力トレーニングを本格的に開始。下半身を鍛えることでキック力がついた。
日本水泳連盟競泳委員で日本大学文理学部教授の野口智博さんは、
「バタフライに関しては、キックがよく進むようになった。ストロークが大きく泳ぎに余裕があるので、もう一段高い筋力をつけ、ストローク数を50メートルにつき、ひとつ増やしたらピッチを上げられる」と話す。
パンパシは欧州勢が参加しないため、55秒48という世界記録でリオ五輪を制したスウェーデンのサラ・ショーストレム(25)は不在だった。野口さんは「ショーストレムがそういう泳ぎをしているので、それをベースにもう少し速くなることを想定した体作りと泳ぎ作りができれば、勝機はある」と期待する。
もうひとつ、五輪がパンパシやアジア大会と違うのがレース数。五輪や世界選手権は予選→準決勝→決勝の3レースだが、アジア大会やパンパシは予選→決勝の2レース。予選を多少流しても決勝に残れた。よって、五輪同様3レース方式となる来年の世界選手権(韓国・光州)で真価が問われることになる。