糖尿病専門医である牧田医師が注目するのは、血糖値との関係だ。血糖値が急激に上昇するほど、肥満や糖尿病のリスクが上がるという。昼下がりの缶コーヒーや甘い飲み物など普段の習慣が気分のアップダウンを引き起こし、仕事のパフォーマンスを下げている恐れもある。
健常者の血糖値は、空腹時で80~90mg/dl程度。炭水化物を摂取すると、1時間ほどで120mg/dlまで上がり、緩やかに下降する。ところが、缶コーヒーや清涼飲料水など、砂糖を大量に含む液体を取った場合、血糖値の上がる速度は急激だ。
「パンやごはんのように消化に時間のかかる固形物と違い、液体では30分後に、140mg/dlまで急上昇します。すると、セロトニンやドーパミンといった幸せホルモンが分泌され、気分が高揚するのです」(同)
血糖値が急激に上昇すると、インスリンが分泌され、血糖値が下がりだし、イライラしたり、眠くなったりするという。
脳には報酬系がある。アルコール、ギャンブルなどさまざまな依存症とも関係するメカニズムだが、糖質でもこれが起こりうる。幸福感を求めて、また甘いものを食べる。繰り返せばやめられなくなり、糖質中毒に陥っている可能性もあるという。
血糖値の上昇を緩やかにする秘訣は、炭水化物と一緒に、肉や脂質、食物繊維なども取ること。消化に時間がかり、胃での滞留時間が長くなる。おにぎりにおかずをつけたり、パンとオリーブオイルを合わせたりするだけでもかなり違うという。
「意外に思われるでしょうが、ごはん1杯で済ますより、オリーブオイルをかけたほうが、実は体にとっては負担が少なく、ヘルシーなのです」(同)
(編集部・熊澤志保)
※AERA 2018年8月27日号より抜粋