あらゆる業界で価格競争は起こっているが、そんな中で値切ることが許されないイメージがあるのが、葬儀。しかしこの禁断ともいえる業界で“価格破壊”に乗り出した企業がある。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2035年には日本人の15歳以上の半分が独身生活者になるといわれる。自分が死んだとき、誰が葬儀を執り行ってくれるか、不安を感じる人が増えて当然の世の中だ。
だったら自分の葬儀を生きているうちに生前予約しておきたい、というニーズがあってもおかしくはない。それに応えた格安なサービスが、最低14万円からの定額・低価格の葬儀を取り扱うインターネット予約サイト「小さなお葬式」(電話申し込みも可)。同サイトを運営するユニクエストのマーケティング部長、山本敏幸さんはサービス開発の経緯をこう語る。
「最近は葬儀の喪主がいない方も増えています。そのため、弊社としても、葬儀の生前契約サービスは昔から手がけたい分野でした。ネックになったのは、いつ亡くなるか、現時点でわからない人のお金をどうやって確実に保管するか。契約していただくお客様にしても、自分が亡くなる10年後、20年後に、このユニクエストって会社はまだあるのか?という点が心配なはずですよね」
そこで、財産の相続争いを防ぐ遺言信託のように、信託会社や弁護士を介在させることで、生前に交わした契約内容や入金されたお金を分別管理するシステムを構築。同社の有無にかかわらず、また、死後に連絡がうまく取れず別の会社で葬儀を済ませたときでも円滑に葬儀料金の返還が行われるような段取りを整えたのが、「小さなお葬式の生前契約」プランである。喪主がおらず、葬儀や納骨まですべてを代行してもらう、いうなれば“究極のおひとりさま葬儀”の料金は24万8千円から。喪主がいる場合は、さらに安い14万円からの定額制になる。
「とにかく日本の葬式は本当に閉鎖的ですし、値切るなんてとんでもないという雰囲気があります。そして、最初に金額がわからない。たとえば、『火葬料金』『葬儀場の式場使用料』など葬儀に必要なものが基本プランに含まれていないこともありますが、利用者は葬儀の経験回数が少ないためなかなか事前にわかりません。このような“絶対に支払うことになるお金”も後から『いくらです』と請求されることが多い。こんなに不透明な業界はない、ということで弊社が始めたのがネットで集客する定額制サービス『小さなお葬式』だったのです」(山本さん)