保護者と教職員が子どもを支援するためのPTA。ボランティアにもかかわらず、平日日中の会議などに苦しむ母親の実態がある。『PTA不要論』は、PTAとは何のためにあるのかを問い直した一冊だ。今回は著者のノンフィクション作家・黒川祥子さんに、同著に込めた思いを聞く。
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本著の冒頭は、ノンフィクション作家・黒川祥子さん自身の吐露から始まる。
<卒業してよかったと、心から思えるものがある。それが、PTAだ。母親たちの愛憎渦巻く、訳のわからない組織に今後一切、関わらなくて済むのだと思うと、安堵の念しか浮かばない>
二人の息子がいる黒川さんは過去に7回、PTA役員を務めた。その際、いじめや無視をされた苦い経験がある。母親たちと顔を合わせないために、犬の散歩コースを変え、運動会など学校行事にも不参加。何とかやり過ごしてきた。PTAとは何物で、何のために存在するのか。閉鎖的なムラ社会から卒業したからこそ、村八分を恐れずに向き合えたと黒川さんは振り返る。
取材には協力的な人が多かった。だが、匿名であることと、会う場所は地元を離れることが必須条件だったという。身バレする怖さがにじみ出る。